カタルーニャ独立宣言

カタルーニャ独立宣言：歴史的背景と影響

カタルーニャ独立宣言は、スペインの自治州であるカタルーニャが独立を宣言した歴史的な文書です。2017年10月10日に当時の州首相カルラス・プッチダモン氏らによって署名されましたが、その直後に凍結。同年10月27日に州議会で承認されたものの、スペイン高等裁判所によって無効とされました。この宣言に至るまでの経緯、宣言の内容、そしてその後の影響について詳しく解説します。

独立に至る背景

カタルーニャ地方では長年にわたり独立運動が存在していました。2014年には非公式な独立住民投票が行われ、投票率は4割程度ながらも独立賛成派が8割を占める結果となりました。2015年の自治州議会選挙でも独立賛成派が過半数を獲得し、同年11月には州議会が18ヶ月以内の独立を目指す「カタルーニャ独立手続き開始宣言」を採択しました。

2017年6月、プッチダモン州首相は独立の是非を問う住民投票を10月1日に実施し、賛成多数の場合は48時間以内にカタルーニャ共和国として独立を宣言すると発表しました。これに対し、スペイン中央政府は住民投票を違法であるとし、断固として認めない姿勢を示しました。

中央政府との対立と住民投票

住民投票をめぐり、中央政府と自治州政府の対立は激化しました。中央政府は住民投票を阻止するために「アヌビス作戦」を展開し、投票用紙や投票箱の押収、関係者の拘束、自治州の財政掌握など、あらゆる手段を講じました。投票所として使用される予定の建物を封鎖し、住民投票に関するウェブサイトを閉鎖するなど、徹底的な妨害工作を行いました。

しかし、州政府は10月1日に予定通り住民投票を実施。州政府の発表によれば、賛成が約9割に達し、プッチダモン氏は勝利宣言を行いました。当初、10月4日に独立宣言を行う予定でしたが、開票作業の遅れや憲法裁判所の停止命令などを理由に見送られました。一方、ラホイ首相は住民の意思を反映する投票は行われなかったとして、独立宣言を阻止する姿勢を明確にしました。

独立宣言とその後

2017年10月10日、プッチダモン氏は州議会で演説を行い、カタルーニャ独立という人々の要求は受け入れるとしながらも、独立宣言は保留とし、中央政府との対話を目指す姿勢を示しました。住民投票の結果を受けて、プッチダモン氏や議会議員らは独立宣言に署名したものの、直後にプッチダモン氏が独立宣言の施行を延期したため、保留状態となりました。

独立宣言では、すべての国家や国際機関に対し、カタルーニャ共和国を独立国として承認するよう求めています。しかし、カタルーニャはいかなる国家からも承認を受けませんでした。

中央政府は州政府幹部の解任や直接統治に乗り出すなど強硬姿勢を崩さず、10月31日にはスペイン高等裁判所が独立宣言の無効を宣言しました。2019年には、カタルーニャ独立住民投票を強行したとして、ウリオル・ジュンケラス氏ら9人が反乱罪で有罪となり収監されましたが、2021年6月22日、スペイン政府は彼らに対する恩赦を決定しました。

国際社会の反応

欧州連合（EU）は、スペインを唯一の対話相手であるとし、独立宣言を承認しませんでした。アントニオ・タイヤーニ欧州議会議長は、独立宣言がスペイン憲法およびカタルーニャ自治憲章に違反するものであると指摘しました。国際連合（国連）のアントニオ・グテーレス事務総長は、スペイン政府とカタルーニャ政府に対し、スペイン憲法の下で現在の危機を解決する手段を模索するように指示しました。

カタルーニャ独立宣言は、カタルーニャの独立運動における重要な転換点となりました。独立は実現しませんでしたが、その後の政治情勢に大きな影響を与え、現在も議論が続いています。

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