カテゴリー7ケーブル

カテゴリー7ケーブルとは

カテゴリー7ケーブル（Cat 7）は、ツイストペアケーブルの一種で、主に10Gbps以上の高速LAN配線に使用するためにISO/IEC 11801|ISO_IEC 11801で規格化されました。しかし、その規格と市場の実態には大きな乖離があります。

規格と市場の乖離

2023年現在、カテゴリー7の規格に準拠したケーブルはほとんど普及していません。その大きな理由の一つが、従来のRJ-45コネクタが使用できない点にあります。規格では、周波数性能を確保するために特殊なコネクタを使用することが求められています。

具体的には、以下のようなコネクタが規定されています。

TERAコネクタ
GG45コネクタ

これらのコネクタを使用しているメーカーはごく少数に限られ、市場に出回っている「カテゴリー7」と謳うケーブルの多くは、RJ-45コネクタを使用しています。これらのケーブルは、特定の条件下で600MHzの周波数要件を満たすこともありますが、規格上はカテゴリー6Aケーブルに分類されるべきものです。このため、業界の慣習と規格仕様の間に大きなずれが生じています。JEITA（一般社団法人電子情報技術産業協会）は、RJ-45ポート接続ではカテゴリ6Aで十分な性能を発揮できるため、規格外のケーブルを選択する必要はないと注意を喚起しています。

米国規格 ANSI/TIA-568|ANSI_TIA-568 では、この状況を踏まえ、RJ-45コネクタを用いるカテゴリー3、5e、6、6A、8.1のみを規定し、カテゴリー7は規格に含めていません。

カテゴリー7の規格仕様

ISO/IEC 11801|ISO_IEC 11801では、カテゴリー7（Cat.7）とカテゴリー7A（Cat.7A）が規定されています。これらの規格は、カテゴリー5やカテゴリー6に比べて、クロストークやノイズに対するより厳しい仕様を定めています。

ケーブル構造には特に規定はありませんが、一般的には4対のツイストペアケーブルそれぞれにシールドを追加し、さらにケーブル全体にもシールドを施す構造が採用されています。そのため、終端処理や接地（アース）には十分な注意が必要です。

カテゴリー7 (Cat.7)

Cat.7は、ISO/IEC 11801|ISO_IEC 11801:2002で規定されました。配線品質はクラスFとして定義され、上限周波数600MHzの性能が求められます。10GBASE-Tで100メートルの接続を実現するために策定されましたが、RJ-45コネクタが使えないため市場に普及せず、代わりにカテゴリー6Aケーブルが10GBASE-Tで広く利用されています。

カテゴリー7A (Cat.7A)

Cat.7Aは、ISO/IEC 11801|ISO_IEC 11801 Amendment 1 (2008)およびAmendment 2 (2010)で規定されました。配線品質はクラスFAとして定義され、上限周波数1GHzの性能が求められます。カテゴリ名の「A」は、Argumented（強化された）を意味します。

CATV（862MHz）など、さまざまな用途での利用を想定していましたが、実際にはほとんど用途が見られません。ペンシルベニア州立大学の研究では、理論上は40Gbps通信で50メートル、100Gbps通信で15メートルまで利用できるとされていましたが、その後の技術発展により、より高速な通信規格には対応できなくなりました。

カテゴリー8

カテゴリー8（Cat.8）は、ISO/IEC 11801|ISO_IEC 11801-1:2016で規定されました。配線品質はクラスIおよびクラスIIとして定義され、どちらも上限周波数2GHzの性能が求められます。ANSI/TIA-568|ANSI_TIA-568-C.2-1 (2016年)では、RJ-45コネクタが使用可能なCat.8.1のみが規定されました。

カテゴリ 8.1 (クラスI): RJ-45コネクタで終端し、カテゴリ6Aと互換性があります。
カテゴリ 8.2 (クラスII): TERA・GG45コネクタで終端し、カテゴリ7Aと互換性があります。

カテゴリー8は、25GBASE-Tおよび40GBASE-Tで30メートルの接続に使用できますが、規格に準拠した機器はまだ少なく、実際の用途は限られています。

まとめ

カテゴリー7ケーブルは、その規格と市場のずれにより、あまり普及していません。市場に出回っている「カテゴリー7」ケーブルの多くは、実際にはカテゴリー6A相当の性能しか持たないため、注意が必要です。より高速な通信が必要な場合は、カテゴリー8ケーブルなど、最新の規格に準拠した製品を選ぶことが推奨されます。

カテゴリー7ケーブル