カドヴァン・アプ・イアゴ

カドヴァン・アプ・イアゴ（ウェールズ語: Cadfan ap Iago, ラテン語: Catamanus, 580年頃 - 625年）、またはキャドヴァン（英語: Cadvan）は、7世紀初頭にグウィネズ王国を統治した王です。彼の治世は、ブリテンの歴史において重要な時期にあたります。

生涯と即位

カドヴァンは、グウィネズ王イアゴ・アプ・ベリ（Iago ap Beli）の息子として生まれました。彼は、パウィス軍がノーサンブリアのエセルフリスに敗北したチェスターの戦い（Battle of Chester）の直後、およそ615年頃にグウィネズ王に即位しました。

統治と評価

カドヴァンは、一般的に賢明で公正な統治者として評価されています。特に、法の維持と、当時敵対勢力が増加していたブリテンにおいて平和を維持する手腕は特筆に値します。アングルシー島のLlangadwaladr教会にあるカドヴァンの墓石には、「Catamanus rex sapientisimus opinatisimus omnium regum（賢明かつすべての王の中で最も名高いカドヴァン王）」という碑文が刻まれています。この碑文は、彼が同時代の人々からいかに高く評価されていたかを物語っています。

後継と伝説

カドヴァンの死後、王位は彼の息子であるカドワスロン・アプ・カドヴァン（Cadwallon ap Cadfan）に引き継がれました。カドヴァンは、ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』において、伝説的なブリテン王の一人として描かれています。ジェフリーはカドヴァンを「カドウァヌス」（ラテン語。英語表記はCadvan）と呼び、北ウェールズの王から後に全ブリトンの王になったという物語を創作しました。

テューダー朝との関係

カドヴァンは、テューダー家の家祖であるオウエン・テューダーの祖先にあたります。そのため、テューダー朝を開いたイングランド王ヘンリー7世を通じて、現イギリス王室の系図にも連なっています。これは、カドヴァンがウェールズの歴史だけでなく、イギリスの歴史においても重要な人物であることを示しています。

カドヴァンの生涯は、7世紀初頭のブリテンにおける政治、社会、文化を理解する上で貴重な手がかりを与えてくれます。彼の賢明な統治と平和への貢献は、後世に語り継がれるべき遺産と言えるでしょう。

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