カナダの経済

カナダ経済：豊かな資源と多様な産業構造

カナダは世界でも有数の豊かな国であり、OECDやG7などの国際機関に加盟しています。その経済はサービス業が中心で、国民の多くが従事しています。一方で、製造業、特に自動車や航空機産業も盛んで、特にオンタリオ州やケベック州では大きな経済的役割を担っています。一人当たりのGDPはアメリカには及ばないものの、他の主要な西側諸国とほぼ同等です。州単位で見ると、オンタリオ州や西部の州ではアメリカに迫る水準にあります。1990年代前半の経済混乱は克服され、その後は順調に回復、カナダドルの価値も上昇しました。

主要産業

資源産業

カナダ経済を支える重要な柱の一つに資源産業があります。ブリティッシュコロンビア州では林業、アルバータ州では石油・天然ガス産業、オンタリオ州北部では鉱業が盛んです。これらの産業は雇用とGDPに貢献していますが、近年は資源枯渇や環境問題への懸念も高まっています。大西洋沿岸州では歴史的に漁業が盛んでしたが、乱獲などが原因で衰退しつつあります。

サービス業

GDPの7割以上を占めるサービス業は、カナダ経済の基盤です。小売業はショッピングモールを中心としたチェーンストアが主流で、アメリカ資本の企業も進出しています。金融、不動産、通信などのビジネスサービスも重要な部門であり、特に大都市圏に集中しています。医療や教育は政府が管轄しており、特に医療分野は急速に成長していますが、財政負担も増大しています。観光業も重要な役割を果たしており、アメリカからの観光客が中心ですが、中国などからの誘致も進められています。ハイテク産業も重要な成長分野です。

製造業

製造業は、かつてGDPの2割以上を占めていましたが、現在は1割程度に減少しました。しかし、空洞化は進んでおらず、自動車産業が特に重要です。オンタリオ州を中心に、アメリカと日本の自動車メーカーの工場や、部品製造企業が多数立地しています。現在では、アメリカ・ミシガン州よりも多くの自動車を生産するまでに成長しています。カナダは教育水準が高く、人件費が比較的安価であること、公的医療保険制度が企業の負担を軽減するなどのメリットがあるため、製造業にとって魅力的な立地条件となっています。航空機や鉄道車両の製造企業も存在します。

エネルギー

カナダはエネルギー資源の純輸出国です。アルバータ州のオイルサンドは世界第3位の埋蔵量を誇り、石油・天然ガスは主要な輸出品となっています。水力発電も盛んで、アルミニウム精錬などの産業を支えています。

鉱業

カナダは世界有数の鉱物資源国です。オンタリオ州北部を中心に、金、ニッケル、ウラン、鉛など様々な鉱物が産出されます。ウランは世界最大の産出量を誇ります。

農業

農業は、大規模農場による穀物生産が中心です。小麦や大麦、アブラナなどの生産量は世界的に見て上位を占めています。

漁業

大西洋沿岸州では古くから漁業が盛んでしたが、乱獲により、タラやサケなどの漁獲量は大幅に減少しています。

貿易と経済政策

カナダ経済は貿易に大きく依存しており、アメリカとの貿易関係が非常に強固です。アメリカはカナダの主要な貿易相手国であり、輸出入の大きな割合を占めています。農作物、特に穀物の輸出も盛んです。

地域格差

カナダ経済は地域間格差が顕著です。オンタリオ州やブリティッシュコロンビア州は経済的に発展していますが、大西洋沿岸州などでは経済的停滞が問題となっています。

自由貿易協定

カナダはアメリカ、メキシコとの間で北米自由貿易協定（NAFTAの後継協定であるUSMCA）を締結しており、その他多くの国と自由貿易協定を締結しています。また、現在も多くの国と協定交渉を進めています。

課題

カナダ経済は発展していますが、地域格差、資源枯渇、気候変動など、解決すべき課題も存在します。これらの課題への対応が、今後のカナダ経済の持続的発展に重要となります。

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