カナディアン・ロッキー山脈自然公園群

カナディアン・ロッキー山脈自然公園群は、カナダのアルバータ州とブリティッシュコロンビア州にまたがる広大な地域に位置し、ユネスコの世界遺産に登録されています。この地域は、3000メートル級の山々が連なり、氷河、氷河湖、滝、峡谷、鍾乳洞といった多様な地形が織りなす、壮大な自然景観が特徴です。1984年にその手つかずの自然が評価され、世界遺産に登録されました。

公園群は、以下の4つの国立公園と3つの州立公園によって構成されています。

国立公園
バンフ国立公園（アルバータ州）
ジャスパー国立公園（アルバータ州）
クートニー国立公園（ブリティッシュコロンビア州）
ヨーホー国立公園（ブリティッシュコロンビア州）

州立公園
ハンバー州立公園（ブリティッシュコロンビア州）
アシニボイン山州立公園（ブリティッシュコロンビア州）
マウント・ロブソン山州立公園（ブリティッシュコロンビア州）

この地域は、ノースサスカチュワン川、アサバスカ川、コロンビア川、フレーザー川といった北米を代表する主要河川の源流にもなっています。山脈や氷河に加えて、熱水泉も存在し、多様性に富んだ生態系を育んでいます。

特に注目すべきは、標高2,599メートルのバージェス山です。氷河によって削られた急峻な山肌には、バージェス頁岩が露出しており、この地は古生物学者によって発掘調査が続けられています。まるで本のページのように剥がれる頁岩からは、約5億年前のカンブリア紀に生息していた様々な生物の化石が発見されています。この時代は、地球の生物が爆発的に進化した時期であり、バージェス頁岩は当時の生態系を解明する上で貴重な資料となっています。

ここでは、三葉虫をはじめ、棘で体を覆っていたと考えられるハルキゲニア、ホースのような口で獲物を捕らえていたと考えられるオパビニアなど、奇妙な形の絶滅生物の化石が見つかっています。中でも特筆すべきは、エビとクラゲを合わせたような姿のアノマロカリスで、体長は60センチメートルにも及び、ひれを使って自由に泳ぎ回り、触手で獲物を捕らえていたと考えられています。アノマロカリスは、5億年前の海で支配的な存在だったと考えられています。

バージェス頁岩は、元々1980年に単独で世界遺産に登録されていましたが、1984年にカナディアン・ロッキー山脈自然公園群が新たに登録された際に、その一部となりました。その後、1990年にはハンバー州立公園、アシニボイン山州立公園、ロブソン山州立公園が追加登録され、登録範囲が拡大されました。

カナディアン・ロッキー山脈自然公園群は、その比類なき自然美と地質学的、古生物学的な重要性から、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
* (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

この地域は、カナダの自然を象徴する場所として、世界中の人々を魅了し続けています。

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