カナリーヤシ

カナリーヤシ（フェニックス）

カナリーヤシ（学名: Phoenix canariensis）は、ヤシ科ナツメヤシ属に分類される常緑高木です。カナリア諸島を原産とし、日本では一般的にフェニックスという名前で知られています。その美しい樹姿から、公園や街路樹として広く利用されています。

名称の由来

カナリーヤシの名称は、原産地であるアフリカ西海岸のカナリア諸島に由来します。また、日本ではフェニックスと呼ばれることが一般的ですが、これは宮崎県の公式ページによると、病害虫に強く長寿であることから、不死鳥（フェニックス）の名が与えられたとされています。学名の属名である Phoenix（フェニクス）の語源には諸説ありますが、一説にはナツメヤシに対する古代ギリシャ名であるとされています。

特徴

カナリーヤシは、日本では関東南部以南の温暖な地域で生育します。陽樹であり、耐潮性に優れていますが、寒さには弱く、-10℃を下回ると枯死する可能性があります。樹高は5mから最大で12m程度に成長し、幹周りは3mに達することもあります。樹形は、幹の頂部から葉を水平に大きく広げるのが特徴で、樹皮には葉痕が目立ち、ゴツゴツとした独特の風貌を呈します。葉は弓状に垂れ下がる羽状複葉で、長さは4mから7mにも達します。基部の小葉は長さ20cmから55cmで、断面はV字形を呈し、先端が鋭い針状になっているため、取り扱いには注意が必要です。花期は5月から6月で、雌雄異株です。果実は10月から11月頃に実ります。

また、葉がついている幹の下部には、枯れた葉の基部が集まる部分があり、そこはクッション状になっています。この場所には、タマシダなどの着生植物が根を張りやすく、本州南部以南では、野外に植栽されたカナリーヤシのこの部分に、タマシダが一面に生えている光景をよく見かけます。また、アコウ、イヌビワ、アゼトウナ、マツバランなどの植物が生えていることもあります。

利用

カナリーヤシは、主に街路樹や公園、官公庁、庭園などの装飾樹として利用されています。その存在感のある姿は、景観を美しく彩ります。また、葉は生花や花束にも利用されます。日本本土の南部地方の観光地では、南国ムードを高めるために、シンノウヤシやワシントンヤシと並んでよく用いられています。

県・市区町村・大学の木

カナリーヤシは、以下の県や大学のシンボルツリーとしても採用されています。

県の木：
宮崎県
大学の木：
広島大学
大阪学院大学

参考文献

土橋豊『観葉植物1000』八坂書房、1992年9月10日。ISBN 4-89694-611-1。
宮内泰之 監修、成美堂出版 編『見わけがすぐつく樹木図鑑』成美堂出版、2023年5月20日。ISBN 978-4-415-33237-6。

関連項目

ナツメヤシ

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