タマシダ

タマシダの概要

タマシダ（玉羊歯、学名：Nephrolepis cordifolia）は、ツルシダ科タマシダ属に属し、主に日本の南部に見られるシダ植物です。この植物は、特に乾燥した地面や樹上に生育し、多くの場合、観賞用として栽培されています。

名称の由来

和名の「玉羊歯」は、匍匐茎に付属する球状の塊茎から名付けられたものです。これに対して、中国では「腎蕨」、韓国では「줄고사리」という名前で知られています。いずれも、タマシダの独特な生態を反映した名称となっています。

分布と生育環境

タマシダは、日本国内では本州の伊豆半島から九州、さらには小笠原諸島や南西諸島などに分布しています。さらに中華人民共和国や台湾、東南アジア、ポリネシア、アフリカなどでも見られます。この植物は主に、日当たりの良い海岸近くの乾燥した斜面や岩の上、時には樹上にも生育します。特に、カナリーヤシの葉が密集した場所では、見られることが多いです。

特徴

タマシダの根茎は短く、斜め上に直立します。そこから多数の葉が出ており、また針金のような根を持ち、細い匍匐茎を伸ばして新芽を出し、広がった群落を形成します。匍匐茎には球状塊茎ができ、水分と栄養を貯蔵しています。

葉は細長い形状をしており、一般的には30から40センチ[[メートル]]の長さですが、条件が良ければ最大で80センチ[[メートル]]にも達します。地上に生えている場合、葉は立ち上がり、樹上では垂れ下がります。葉は主軸から数十対の細長い小葉をつけ、先端は尖らず、基部では耳のように突き出しています。胞子嚢群は小葉の裏側に並んでいます。

利用法

タマシダはその美しさから観葉植物として栽培されており、特にいくつかの園芸品種が存在します。例として、

• - ダッフィー (Duffii): 変異種で、羽片が小さく、葉全体の幅はわずか1–1.5センチしかありません。葉柄や中軸が二股に分かれ、胞子嚢群はあまりできません。原産地はニュージーランドや南洋諸島とされ、この種から進化したと考えられています。これには「石化タマシダ」という和名もあります。
• - ペチコート (Petticort): 葉の先が1回から2回分岐します。

タマシダの育成には、やや明るい日陰を好むため直射日光を避けることが重要です。栽培条件としては20度前後が理想的で、寒さにも強い特性を持っています。植物が凍らなければ越冬が可能です。育てる際は、初夏から夏にかけて施肥や植え替え、繁殖作業を行います。繁殖は株分けまたは匍匐茎にできた子株を利用しますが、病害虫としてカイガラムシが付着することもあるため、注意が必要です。

近縁種

タマシダには、近縁種としてセイヨウタマシダ（N. exaltata (L.) Schott）が存在し、これは南米原産で観葉植物として知られています。タマシダ以外にも、タマシダ属には日本に2種が分布しています。一つはヤンバルタマシダ（N. hirstula (Forst.) Presl）で、もう一つはホウビカンジュ（N. biserata (Sw.) Schott）です。特にホウビカンジュは石灰岩の崖に生えており、小葉は幅広く、長さは最大で2メートルに達します。

参考文献

• - 岩槻邦男編『日本の野生植物 シダ』平凡社
• - 光田重幸『しだの図鑑』保育社
• - 浅山英一他『原色図譜 園芸植物 温室編』平凡社
• - 土橋豊『観葉植物1000』八坂書房

タマシダは、その独特な形状と実用性から、日本の多くの庭や室内で愛されている観葉植物です。

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