カナーン・バナナ

カナーン・ソディンド・バナナ：ジンバブエ初代大統領の光と影

カナーン・ソディンド・バナナ（1936年3月5日 - 2003年11月10日）は、ジンバブエの政治家であり、メソジスト派の牧師でした。1980年から1987年まで初代大統領を務め、ジンバブエの独立に大きく貢献しました。しかし、晩年は同性愛の罪で逮捕・投獄され、その生涯は光と影に彩られています。

生涯

バナナは、南ローデシア（現ジンバブエ）で、ンデベレ族の母とマラウイ出身の父との間に生まれました。宣教師による教育を受けた後、教師養成研究所で学びました。1962年にはメソジスト派の牧師となり、政治活動にも関与し始めます。イアン・スミス首相の政策を批判し、黒人解放運動に参加。統一アフリカ国民会議（UANC）の副議長も務めました。

1960年代には、党員の多くが逮捕される中、バナナは家族と共にボツワナ、日本、アメリカへと亡命。関西大学で学んだ時期もありました。1975年に帰国後逮捕されますが、1年後に釈放。その後、ロバート・ムガベ率いるジンバブエ・アフリカ民族同盟（ZANU）に合流し、スミス政権打倒を目指しました。1980年、ジンバブエが独立を果たすと、初代大統領に選出されました。

大統領としての役割

バナナの大統領としての役割は、主に儀礼的なものでした。実質的な政治は、首相であったロバート・ムガベが主導しました。しかし、バナナはジンバブエの統一に大きく貢献しました。ジンバブエ・アフリカ民族同盟（ZANU）とジンバブエ・アフリカ人民同盟（ZAPU）という2つの主要政党を統合し、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線（ZANU-PF）を誕生させたのです。また、アフリカ統一機構（OAU、現在のアフリカ連合）の外交官や、ジンバブエ大学宗教学部の学部長も務めました。

晩年と逮捕

しかし、バナナの晩年は暗いものでした。1997年、同性愛の罪で逮捕されたのです。これは、元ボディガードの殺人事件の裁判での告発がきっかけでした。バナナは罪状を否認しましたが、1998年に有罪判決を受け、投獄されました。バナナは、この告発は自身の政治的経歴を傷つけようとする陰謀であると主張しました。服役後、2003年にがんで亡くなりました。

ジンバブエにおける評価

バナナの死後、ジンバブエでは国葬は行われず、その功績は十分に評価されているとは言えません。しかし、初代大統領としてジンバブエの独立と統一に貢献したことは事実です。晩年のスキャンダルは、その功績に影を落としていますが、ジンバブエの歴史において、忘れることのできない人物の一人であることは間違いありません。

カナーン・ソディンド・バナナの生涯は、ジンバブエの激動の歴史を象徴しています。独立、統一、そして晩年のスキャンダル。その複雑な足跡は、ジンバブエの過去と未来を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

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