カバトット

カバトット：のどかなジャングルを舞台にした愉快な物語

『カバトット』は、タツノコプロ制作による、1971年から1972年にかけてフジテレビ系列で放送された、心温まる短編アニメーションです。のどかなジャングルを舞台に、お人好しのカバとその口の中に住み着くキバシウシツツキのトットの、コミカルで楽しい日常を描いています。

カバは優しく大らかですが、いたずら好きなトットはいつもカバをからかい、ちょっかいを出します。しかし、トットのいたずらも、カバの機転や思わぬ出来事によって、いつも最後はトットがひどい目に遭うという、痛快な展開が魅力です。この二人の掛け合いが、視聴者に多くの笑いと温かい感情を与えました。

本作は、月曜日から土曜日まで毎日放送され、放送時間はわずか5分間でしたが、全300話という長編シリーズとして制作されました。再放送も頻繁に行われ、総放送回数は548回に及びました。タツノコプロの資料によると、平均視聴率は7.0%と、高い人気を誇っていたことがわかります。

スタッフとキャスト

『カバトット』の高い人気を支えたのは、個性豊かなスタッフとキャスト陣の存在です。

声の出演: カバ役には大平透氏、トット役には曽我町子氏と堀絢子氏が声を担当。ナレーターは原田一夫氏、その他にも相模武氏、丸山裕子氏、大竹宏氏など、多くの実力派声優が参加しました。
スタッフ: 原案は原征太郎氏、企画・文芸担当は鳥海尽三氏、由起圭氏、酒井あきよし氏。脚本には鳥海尽三氏、城山昇氏、柳川茂氏らが参加。アニメーション制作は、チーフアニメーターの布川ゆうじ氏をはじめ、中村光毅氏（美術）、高橋澄夫氏（撮影）、はやし・こば氏（音楽）、RPGサウンド（効果）、水本完氏（音響ディレクター）、笹川ひろし氏（監督）など、多くのベテランスタッフが作品を支えました。制作には、読売広告社、フジテレビ、和光プロダクションが協力。製作は吉田竜夫氏と竜の子プロダクションが担当しました。

主題歌とコミカライズ

軽快なサンバのリズムが印象的な主題歌「カバトットのサンバ」は、作詞を丘灯至夫氏、作曲を水上勉氏、編曲を甲斐靖文氏が担当。歌は加世田直人氏とコロムビア・メール・ハーモニーが歌い上げ、日本コロムビアから発売されました。

アニメ放送終了後には、コミカライズ版も発売されました。全4巻からなるこのコミックスは、当初はサン企画から発行されましたが、同社の社名変更に伴い、最終巻はオハヨー出版から発行されています。

放送局と関連作品

『カバトット』は、フジテレビを制作局として、全国各地の系列局で放送されました。放送時間や曜日、時間帯は局によって異なりましたが、多くの子どもたちに愛される番組でした。

なお、本作の放送開始前には、同じ時間帯に『いたずら天使チッポちゃん』というミニアニメが放送されていました。

『カバトット』は、短いながらも心に残る物語の数々、そして個性豊かなキャラクターたちによって、多くの視聴者の心に深く刻まれた、日本のアニメ史において重要な作品の一つと言えるでしょう。

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