カミガヤツリ

カミガヤツリ（パピルス）について

カミガヤツリ（学名：Cyperus papyrus）は、カヤツリグサ科カヤツリグサ属に分類される多年生の草本植物です。パピルス、パピルス草、カミイ（紙葦）とも呼ばれ、茎の繊維が古代よりパピルス紙の原材料として利用されてきました。

分布

カミガヤツリの原産地は南ヨーロッパ、シリア、アフリカです。現在でも、コンゴ、ウガンダ、スーダン、エチオピア、シチリア島、シリア地方の一部地域で自生が確認されています。主に熱帯・亜熱帯地域に生育し、乾燥した砂漠から湿度の高い熱帯雨林まで、様々な環境に適応できます。

特徴

水草の一種で、高さは2メートルほどに成長します。アフリカ奥地の湖や河畔の浅く緩やかな流れの中に群生することが多く、茎の断面は三角形で、最大6センチメートルほどの太さになります。主に地下茎（塊茎）によって繁殖し、花期は4月頃です。緑がかった茶色の花房をつけ、ナッツのような形をした茶色い果実を形成します。生育には年間を通して20-30度程度の気温と、pH6.0-8.5程度の環境が適しています。

歴史と人間とのかかわり

古代エジプトでは、ナイル川デルタ地帯に自生していたカミガヤツリを栽培し、パピルス紙の原料として利用していました。また、パピルス紙以外にも、儀式祭礼用品、履き物などの生活雑貨、綱、舟の帆、葦船の材料としても使われました。さらに、若い葉や茎、根は食料としても利用され、特に柔らかい部位は生食や加熱調理で食されていました。しかし、エジプトのキリスト教化や中国からの製紙法伝来により需要が減少し、ナイル川下流部では自然に姿を消しました。現在では、エジプトでは主に観賞用として栽培されています。

カミガヤツリは、土壌中の窒素やリンを吸収する能力が高いことから、富栄養化したため池などの水質浄化にも利用できるとされています。環境保全の観点からも注目されている植物です。

その他の情報

学名: Cyperus papyrus
科: カヤツリグサ科
属: カヤツリグサ属
別名: パピルス、パピルス草、カミイ（紙葦）
生育環境: 熱帯・亜熱帯地域、水辺
特徴: 高さ2メートル程度、茎は三角形、塊茎で繁殖

この植物は、古代文明を支えた重要な資源であり、現代においてもその多岐にわたる利用価値が注目されています。

もう一度検索