カミッロ・シヴォリ

エルネスト・カミッロ・シヴォリ（伊: Ernesto Camillo Sivori）は、1815年10月25日にジェノヴァで生まれ、1894年2月18日に同地で没したイタリアのヴァイオリニストであり作曲家です。

幼少期から並外れた才能を示し、神童として注目を集めました。特に重要なのは、ヴァイオリン演奏の歴史において伝説的な存在であるニコロ・パガニーニが、彼をただ一人の正式な弟子として指導したことです。パガニーニ以外にも、シヴォリはレスターノ、ジャコモ・コスタ、デッレピアーネといった師からも学びました。

シヴォリの演奏スタイルは、師パガニーニから受け継いだ圧倒的な超絶技巧と、それを支える華麗な表現力が特徴でした。その技術の冴えと音楽的な魅力は、当時の聴衆を熱狂させましたと言われています。

彼はヴィルトゥオーゾとして、1827年から精力的な演奏活動を開始し、1864年まで途切れることなく世界各地への演奏旅行を続けました。この長いキャリアの中で、彼は音楽史に残る重要な演奏にも参加しています。例えば、1846年にはフェリックス・メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調のイングランド初演を務めました。その後も1851年と1864年にイギリスを再訪しています。また、ルイージ・ケルビーニ作曲の《レクイエム第2番ホ短調》の初演にも参加したことが知られています。演奏活動においては、同時代の高名な音楽家たち、例えばフランツ・リストを含む主要な作曲家や演奏家と共演し、その地位を確立しました。

生涯の多くをパリで過ごしましたが、故郷であるジェノヴァの地で最期を迎えました。

シヴォリは優れた演奏家であると同時に、熱心なヴァイオリン蒐集家でもありました。彼が所有していた楽器の中には、アマティ、ストラディバリウス、ベルゴンツィといった名工による貴重な作品が含まれていました。特に彼が大切にしたのは、名工ジャン=バティスト・ヴィヨームが製作したヴァイオリンでした。この楽器は、パガニーニ自身が愛用した有名な「イル・カノーネ」（カノーネ・グァルネリウス）の極めて精巧なレプリカであり、パガニーニ本人からシヴォリに贈られたものでした。

また、シヴォリは自らの演奏会で披露するために、当時の通俗的な人気を持つ多くの楽曲をヴァイオリン用に編曲したことでも知られています。これらの編曲作品は、一部の専門家からは軽視されることもありましたが、一般の聴衆からは広く支持され、人気を博しました。その中でも代表的なものとして、ジョヴァンニ・ボッテジーニが2つのコントラバスのために書いた二重協奏曲を基にした《協奏的大二重奏曲（Gran Duo Concertante）》が挙げられます。シヴォリはこの作品をヴァイオリンとコントラバスのための編成に改め、旋律線にも変更を加えています。特に興味深いのは、両楽器が同じ旋律を時にオクターヴで同時に演奏するようにパートを書き換えるといった大胆な変更を行った点です。

エルネスト・カミッロ・シヴォリは、パガニーニの唯一の正統な継承者として、19世紀のヴァイオリン界において独自の足跡を残した演奏家であり、彼の技術と音楽性は後世に語り継がれています。

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