カミナリ族

カミナリ族とは

カミナリ族とは、1950年代後半から1970年代初頭にかけて、日本の公道でオートバイを高速で乗り回すことを好んだ人々の俗称です。彼らは、オートバイのマフラーの消音器を取り外すなど改造を施し、騒音をまき散らしていました。その音が雷鳴のようであったことから、カミナリ族と呼ばれるようになりました。

カミナリ族は、現在の暴走族の前身とされており、特に違法競走型暴走族の行動様態のルーツになったと考えられています。

カミナリ族の概要

カミナリ族は、全国に数百のグループが存在したと言われています。彼らは公道でスピードや運転技術を競い合い、無謀な運転を繰り返しました。その結果、騒音問題や交通事故を多発させ、社会問題となりました。

1960年代後半になると、カミナリ族は「サーキット族」や「街道レーサー」と呼ばれるようになります。これは、彼らが深夜の繁華街を猛スピードで走り回っていたことに由来します。また、四輪車で走り回る者も現れ、オートバイでは排気量の大きい750ccのものが憧れの的となり「ナナハン族」という呼び名も生まれました。

当時、世間や警察はカミナリ族を「若者の文化」や「麻疹のようなもの」と捉え、比較的寛容な態度を示していました。騒音問題はありましたが、それ以外は大きな問題にはされませんでした。また、当時はオートバイが高価であったため、カミナリ族のメンバーには中産階級以上の家庭の子弟が多かったことも特徴です。

カミナリ族の歴史

カミナリ族のルーツは、1954年に日本で公開されたアメリカ映画「乱暴者」にあると言われています。この映画は、バイカーの姿を描いたもので、そのスタイルに影響を受けた若者がカミナリ族を形成したと考えられています。

暴走族への発展

1970年代に入ると、多くの若者が高校入学と同時に二輪免許を取得するようになりました。1970年代後半には、若者でも購入しやすいオートバイが発売され、オートバイは若者の間で爆発的に普及しました。その結果、オートバイに乗ることが当たり前の風景となり、カミナリ族も大衆化、低年齢化が進みました。

また、不良グループの少年たちがカミナリ族に加わるようになると、彼らはスピードや運転技術を競うよりも、目立つことを目的とするようになりました。低速での蛇行運転や箱乗りを繰り返したり、鉄パイプを振り回したりして、他のグループと抗争を繰り返しました。また、一般市民への傷害事件や窃盗事件も引き起こしました。

社会的な批判が高まるにつれて、警察は取り締まりを強化し、学校では「三ない運動」が展開されました。この頃から、不良グループに限らず、カミナリ族全体が「暴走族」と呼ばれるようになりました。

カミナリ族をテーマとした作品

カミナリ族をテーマとした映画には以下のような作品があります。

「素っ裸の年令」（日活、1959年）
「スピード狂時代 命を賭けて」（東映、1959年）

関連項目

多摩テック：開園当初はオートバイ愛好者向けのサーキットが中心で、「カミナリランド」「カミナリ天国」などと報じられました。
チチヤス


このように、カミナリ族は、当時の社会背景や若者の文化を反映した存在であり、その後の暴走族の形成に大きな影響を与えました。

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