カラスムギ

カラスムギ（烏麦）

カラスムギ（学名：Avena fatua）は、イネ科カラスムギ属に分類される越年草です。しかし、「カラスムギ属」の総称として使われたり、同属の栽培穀物であるエンバク（Avena sativa）の別名として使われることもあります。

エンバクとの関係

形態学的に見ると、エンバク属（Avena）には二倍体のサンドオート（Avena strigosa）と六倍体の普通エンバク（A. sativa）が存在します。一般的に、普通エンバクの祖先野生種としては、同じく六倍体である野生型のオニカラスムギ（A. sterilis）と雑草型のカラスムギ（A. fatua）が知られています。ただし、伝播方法の違いなどから、栽培エンバクが雑草型のカラスムギから進化したという説には否定的な意見もあります。

分布

カラスムギの原産地は、ヨーロッパから西アジアにかけての地域です。現在では、北アメリカ、南アメリカ、アフリカ、アジア、オセアニアといった非常に広い地域で外来種として定着しています。日本国内においては、史前帰化植物として全国に分布しています。

特徴

草丈は30cmから100cm程度まで成長します。春から初夏にかけて、野草としてよく見られます。日当たりの良い畑地、休耕地、牧草地、河川敷、路傍などに生育します。

野生のカラスムギの穎果を覆う穎には、屈曲した長い芒（のぎ）があります。穂から脱落すると、この芒が乾湿運動によって屈曲点を軸に回転を繰り返します。この回転運動によって、穎果は土壌に押し込まれ、発芽に有利な位置に置かれるという特徴があります。

エピソード

北欧神話には、カラスムギにまつわるエピソードが存在します。大地の神ベルダは、畑に害を与えるものがいないように狼人間に見張りをさせていました。しかし、いたずら好きの神ロキが、見張りをかいくぐってカラスムギの種を蒔きました。このことから、暑い日に畑に陽炎が立つと、「ロキがカラスムギを蒔いている」と言われるようになったそうです。

また、カラスムギは牧草としての価値があり、馬の飼料としても利用されています。

抗癌作用に関する研究（過去の研究）

かつて、カラスムギはデザイナーフーズ計画のピラミッドにおいて3群に属しており、その中でもバジル、タラゴン、マスクメロン、アサツキと共に3群の上位に位置づけられ、癌予防効果のある食材であると考えられていました。しかし、現在ではデザイナーフーズ計画自体が終了しており、この情報は過去の研究に基づくものとして捉える必要があります。

関連項目

* エンバク

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