穎果

穎果（えいか、こくか）とは

穎果、または穀果（英語：caryopsis, grain）は、イネ科の植物に多く見られる果実の一種です。この果実は、ひとつの種子を含み、成熟した状態では裂けることなく、乾燥した果皮が種皮と合着しています。さらに、内穎や護穎と呼ばれる特殊な葉で包まれているのが特徴です。穎果は、イネやコムギ、トウ[[モロコシ]]など、多くの穀物がこの形態を持ち、人類にとって非常に重要な食料源となっています。

穎果の構造

穎果は、いくつかの心皮から構成されており、果皮は乾燥し、密に1つの種子を包んでいるのが特徴です。この果皮と種皮はしっかりと合着しており、成熟時には裂開しません。穎果は広義には痩果に分類されることもありますが、何よりもイネ科に特有の果実と言えるでしょう。さらに、内穎と護穎、時には外側の苞穎から成る外被は、籾殻（もみがら）とも呼ばれます。

イネ科の植物では、花もまた内穎や護穎で包まれた状態で存在し、これを穎花（えいか）と呼びます。果実周辺には、しばしば複数の花が集まり小穂を形成することで、果期には穎果が密集している様子が見られます。特にトウ[[モロコシ]]では、太い軸に多くの雌花がついており、それぞれが穎果になるため、複雑な構造を形成します。

種子の散布方法

穎果は裂開しないため、成熟した状態でそのまま散布されることになります。例えば、チガヤやススキ、ヨシなどの植物では、小穂の基部に長い毛が密生しており、これが風によって運ばれる助けとなります。また、チカラシバは毛や突起を持つことで動物に付着しやすく、ササクサは芒（のぎ）によって動物にくっつき、果実を広範に散布する手助けをしています。さらに、チヂミザサは粘液を分泌し、ジュズダマは水に浮かぶことで果実を広める戦略を採用しています。

人類への影響

イネ科の穎果、特にイネやコムギ、オオムギ、トウ[[モロコシ]]などは、私たちにとって欠かせない食料源です。主に利用されるのは穎果の中の胚乳（内乳）です。しかし、穎果を食用にする際には、種皮や果皮、外側の内穎や護穎が邪魔になることが多いです。そのため、これらを個別に剥がすのには労力がかかり、特に籾殻は食べられないため処理が難しいです。

穀物を主食として利用するためには、これらの外皮を効率よく取り除く方法が必要です。このため、世界中で様々な脱穀技術が発展してきました。多くの穀物において、籾摺りや精白を通じて籾殻や外皮を取り除きます。一例として、穀物を広げて乾燥させたり、棒でたたいたり、臼でつくという方法があります。

特にコムギでは、胚乳がもろいため、果皮や種皮を別々にはがすのではなく、一緒に粉砕し、残った果皮や種皮をふるい分け粉として利用することが一般的です。あるいは、挽割麦として加工した後に乾熱を加えることで、さらに利用価値を高めることも行われています。

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