カリナゴ・テリトリー

カリナゴ・テリトリー：カリブ族の自治居留地

カリナゴ・テリトリーは、ドミニカ国東部のセント・デイヴィッド教区に位置する、カリブ族（カリナゴ族）の自治居留地です。約15平方キロメートルの面積に2,000人以上が暮らしており、独自の議会を持ち、住民は土地の共同所有権を有しています。

歴史

カリブ族は、コロンブスが西インド諸島に到達する以前からこの地域に居住していた先住民です。しかし、ヨーロッパ人の到来とともに、カリブ族は迫害され、多くの島々から追放、あるいは虐殺されました。ドミニカ島は、数少ないカリブ族が生き残った島の一つです。

1776年、イギリス王室はサリュビア周辺の土地をカリブ族に与え、カリブ族地区が誕生しました。1903年には、カリブ居留地が正式に設置され、カリブ族は自治と引き換えに、島東部の山岳地帯への移住を余儀なくされました。

居留地は他の地域から隔離されていたため、密輸が横行しました。1930年には、密輸を取り締まる警察とカリブ族の間で暴動が発生し、鎮圧のために海兵隊が派遣される事態となりました。この事件は「カリブ戦争」とまで呼ばれましたが、誇張された内容も多く含まれています。

1978年、カリブ族保護法によって居留地の自治政府が設立され、カリブ議会が発足しました。この頃から、カリブ族は自らを「カリナゴ」と呼ぶようになり、名称の変更を働きかけた結果、2015年にドミニカ国議会で公式に「カリナゴ」という名称が採用されました。

2017年9月には、ハリケーン・マリアによって壊滅的な被害を受け、多くの家屋が損傷・破壊されました。

政治

カリブ・テリトリーはカリブ族保護法に基づき、自治権を有しています。テリトリー政府はドミニカ国のカリブ族を代表する存在です。

首長はカリナゴ・チーフと呼ばれ、選挙によって選出されます。議会はカリナゴ議会と呼ばれ、6議席で構成され、議員の任期は5年です。

集落

テリトリー内には、バタカ、クレイフィッシュ・リバー、ガーレット・リバー、マジニ、モンキー・ヒル、ポイント・サリュビア、サリュビア、シム・シム、シネク、セイント・シアなどの集落が存在します。

経済

カリナゴ・テリトリーは、ドミニカ国内でも貧しい地域の一つとされています。1970年代まで自動車が通れる道路がなく、電気の供給も1986年と国内で最も遅れていました。住民の多くは農業や漁業に従事していますが、近年は観光業にも力を入れています。

住民

2011年の国勢調査によると、カリナゴ・テリトリーの総人口は2,112人です。内訳は、カリブ族が1,451人、混血が592人、その他の民族が49人となっています。2001年の国勢調査と比較すると、総人口は減少していますが、カリブ族の人口は増加傾向にあります。

カリナゴ・テリトリーは、カリブ族の歴史と文化を色濃く残す場所であり、その自治と発展が期待されています。

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