カルマン (自動車)

ドイツの自動車ボディ架装メーカー、カルマン社の歴史

1901年、ヴィルヘルム・カルマン（シニア）がオスナブリュックで馬車製作会社を買収したことが、カルマン社の始まりです。当初は「Wagenfabrik Chr. Klages」という社名でしたが、次第に自動車ボディの架装へと事業を拡大していきました。創業当初から高い品質で知られ、アドラー、フォード、オペルなど、多くの自動車メーカーからボディ製作を依頼されるようになりました。

技術革新と量産化への挑戦

1920年代、ヴィルヘルム・カルマン（シニア）はアメリカ自動車産業の大量生産システムに感銘を受け、カルマン社も従来の工房形式から大量生産へと転換を図ります。木製ボディからハーフスチール、オールスチール、そしてシートメタルプレス技術へと移行することで、生産効率の大幅な向上を実現しました。

バウハウスとの関わりと戦後の発展

1930年代には、バウハウスの創始者であるヴァルター・グロピウスがデザインしたボディを生産するなど、デザイン性にも優れたボディを製作していました。第二次世界大戦によって工場は壊滅的な被害を受けますが、戦後、フォルクスワーゲンとの提携により、タイプ1のカブリオレを生産。このモデルは大成功を収め、カルマン社の名を世界に知らしめました。

フォルクスワーゲン・カルマンギアとオープンカー製造への特化

1955年から1973年にかけて生産されたフォルクスワーゲン・カルマンギアは、カルマン社の代表作であり、世界的な人気を博しました。その後も、カルマン社はオープンカーの製造に特化し、フォルクスワーゲン、アウディ、メルセデス・ベンツなど、多くのメーカーからオープンカーのボディ製作を請け負いました。

多様な事業展開と海外進出

カルマン社はオープンカーだけでなく、キャンピングカーの製造にも事業を拡大しました。1970年代から、フォルクスワーゲンバスをベースとしたキャンピングカーを生産し、高い人気を得ていました。また、海外にも積極的に進出し、ブラジル、アメリカ、ポルトガル、メキシコ、日本などに子会社や拠点を設立し、グローバルな展開を進めました。日本のカルマン・ジャパンは、インフィニティ・G37コンバーチブルのルーフシステムを製造していました。

衰退と買収

しかし、2000年代に入ると、カルマン社は経営難に陥り、2009年には倒産を発表。その後、管財人監督下で再建を目指しましたが、2010年にはマグナ・シュタイアに買収されました。長い歴史を持つカルマン社は、自動車業界の歴史に大きな足跡を残し、多くの名車を生み出しました。

代表的な車種

カルマン社は、数多くの自動車メーカーの車両のボディ製作を手掛けてきました。代表的な車種としては、以下のものがあります。

フォルクスワーゲン・カルマンギア
フォルクスワーゲン・ゴルフカブリオレ
フォルクスワーゲン・ニュービートルカブリオレ
アウディA4カブリオレ
メルセデス・ベンツCLKクラスカブリオレ
ルノー・メガーヌCC
日産・マイクラC+C
インフィニティ・G37

これ以外にも多くの車種があり、各メーカーの個性とカルマン社の技術が融合した、多様な車種が生産されてきました。

カルマン社の遺産

カルマン社は、自動車ボディ架装メーカーとして、長い歴史と伝統、そして優れた技術力を誇っていました。その技術力は、現在でも多くの自動車メーカーに影響を与え続けています。カルマン社の歴史は、自動車産業の歴史の一部であり、これからも語り継がれていくでしょう。

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