カルロス・フィリペ・シメネス・ベロ

カルロス・フィリペ・シメネス・ベロ

カルロス・フィリペ・シメネス・ベロは1948年に東ティモールのワライマカ村に生まれました。サレジオ会士として、彼は地域の教育機関で神学を学び、1979年から1981年にはローマの教皇庁立サレジオ大学にも通いました。1980年にはリスボンにて司祭に叙階され、1983年には東ティモールの教皇行政官として任命され、首都ディリで活動を開始しました。

シメネス・ベロ司教は、1988年に司教に叙階されると、インドネシアによる占領下での人権侵害から住民を守るために尽力しました。彼の活動は地域住民にとって非常に重要であり、特に人権問題に対して積極的に声を上げました。1989年、シメネス・ベロは国連事務総長にあてて書簡を送り、国連の監視下での住民投票を求めました。この書簡では、東ティモール人の自決権が無視されており、民族の存続が危ぶまれていることを訴えました。

この書簡は大きな反響を呼び、特に日本の司教である相馬信夫が中心となり、アジアとオセアニアの教界においてシメネス・ベロ司教の支援を呼びかけました。その結果、1257名の署名が集まり、国連非植民地化特別委員会でシメネス・ベロ司教の支援を示す陳述が行われました。

シメネス・ベロは、もともと宗教分野において政治的発言は控えていましたが、1995年以降に開催された「全東ティモール人包括対話」において、彼は重要な役割を果たすことになります。この対話は国連が主導し、東ティモールの内部および海外の指導者約30人が一堂に集い、現状や将来について議論するものでした。シメネス・ベロ司教は、抵抗派と併合派の両者から尊敬される存在であり、対話の成立に貢献しました。

1996年には、彼が東ティモールの独立に向けた尽力が評価され、東ティモール独立革命戦線の国連代表であるジョゼ・ラモス＝ホルタと共にノーベル平和賞を受賞しました。彼の活動は、地域の人々に希望を与えるものでした。

2002年には病気療養のため東ティモールでの司教職を退き、2004年からは宣教師としてモザンビークに転任しました。シメネス・ベロの人生は、信仰と人権擁護が深く結びついていることを示すものであり、彼は今後もその遺産を通じて多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

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