カルロス・モリーナ

カルロス・モリーナは、1983年5月25日にメキシコのミチョアカン州パッヅクアーロで生まれた男性プロボクサーです。主にスーパーウェルター級で活動し、巧みな技術と積極的な戦いぶりを融合させたスタイルを特徴としていました。試合運びが安定している選手として知られていました。

ボクシングの道に入ったのは18歳で、アマチュアボクシングを始めました。アマチュアでの戦績は7戦6勝1敗という記録を残し、その後プロへと転向しました。

プロキャリアは2003年10月23日にアメリカ合衆国ウィスコンシン州でスタート。デビュー戦は4回TKO勝利を収めました。プロ第2戦は、活動拠点の一つとなるイリノイ州シカゴで行われ、4回判定勝ち。プロキャリア初の敗北は、2004年9月10日のジョナサン・オチョア戦で、1-2の僅差判定負けでした。

キャリアの早い段階で、メキシコのスター選手フリオ・セサール・チャベス・ジュニアと2度にわたり対戦しています。初対戦は2005年12月16日、モリーナが有利との下馬評もあった中で引き分けに終わりました。2度目の対戦は2006年2月18日、0-2の僅差判定で敗れましたが、いずれの試合もチャベス・ジュニアを相手に互角以上の戦いを展開し、その実力の一端を示しました。

その後も僅差の敗戦を経験する時期があり、2007年2月16日には後のWBO世界スーパーライト級暫定王者マイク・アルバラードと対戦。強打で鳴らすアルバラードに対し、粘り強いボクシングで試合を難しくしましたが、0-2の僅差判定で敗れ、キャリア初の3連敗となりました。この試合は、アルバラードにとってもプロ入り後初めての苦戦だったと言われています。

2009年6月5日、フロリダ州で行われた試合で、ダニー・ペレスが持つNABO北米スーパーウェルター級王座に挑戦。相手を圧倒する内容で3-0の大差判定勝ちを収め、王座を獲得するとともに、世界ランキング入りを果たしました。

さらに2011年3月25日には、後のWBA世界スーパーウェルター級暫定王者エリスランディ・ララと対戦。モリーナの積極的な攻めがララを苦しめ、試合は1-0の引き分けに終わりました。また、同年7月9日には元IBF世界ウェルター級王者カーミット・シントロンと対戦し、3-0の大差判定で勝利するなど、強豪相手に実績を重ねていきました。

世界王座への道を歩む中で、2012年3月24日のジェームス・カークランド戦では、リードしていたにも関わらず、10回終了時のダウン後にセコンドがリングに入ったため、失格負けという不運な結末を迎えることもありました。

しかし、モリーナは再び世界挑戦の機会を掴むべく前進します。2013年2月1日、元世界王者コーリー・スピンクスと対戦。IBF世界ランキング上位進出をかけたこの一戦で、モリーナは終始主導権を握り、終盤には2度のダウンを奪う完勝。3-0の大差判定で勝利し、スピンクスを退けました。

そして2013年9月14日、ラスベガスのMGMグランドで行われた大型イベントの前座で、IBF世界スーパーウェルター級王者イシュー・スミスに挑戦。試合は互角の展開が続きましたが、最終的に2-1の僅差判定で勝利し、キャリア初の主要団体世界タイトルとなるIBF世界スーパーウェルター級王座を獲得しました。

世界王者となったモリーナですが、その後のキャリアは順風満帆ではありませんでした。2013年12月に予定されていたビクター・オルティスとの初防衛戦は、IBFがタイトル戦として認めず中止に。さらに2014年3月にはジャーモール・チャーロとの防衛戦が組まれていましたが、試合直前に過去の行為（18歳時の性犯罪に関する性犯罪者登録の不備）が原因でラスベガスで逮捕・勾留されてしまい、試合はキャンセルとなりました。同年5月に釈放されたものの、アメリカでの滞在資格を失っていたことが判明し、メキシコへ強制送還されることになりました。

逮捕・強制送還という大きな混乱を経て、モリーナはIBFから指名挑戦者であるコーネリアス・バンドレイジとの対戦を命じられます。2014年10月11日、メキシコのカンクンでその防衛戦が行われましたが、モリーナはペースを掴めず、0-3の判定負けを喫し、初防衛に失敗してわずか1度の防衛機会もないまま王座から陥落しました。

巧みなボクシングで多くの強敵と渡り合い、世界王座に上り詰めたカルロス・モリーナですが、キャリア後半に発生した私的なトラブルが、そのボクシング人生に大きな影を落とす形となりました。

獲得タイトル：
NABO北米スーパーウェルター級王座
第24代IBF世界スーパーウェルター級王座（防衛0）

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