カレリアントレインズ

カレリアントレインズについて

カレリアントレインズ（Oy Karelian Trains Ltd）は、フィンランドのヘルシンキとロシアのサンクトペテルブルクとの間に国際列車を運行するために設立された合弁事業です。この会社はフィンランドのVRグループとロシア鉄道の各50%の出資によって生まれました。

設立と運行開始までの経緯

会社は2006年の9月23日にヘルシンキで登記されました。そして、2007年9月にはアルストム社からペンドリーノ編成の列車を発注し、2010年12月12日から正式にヘルシンキ中央駅とサンクトペテルブルクのフィンリャンツキー駅との間での運行が始まりました。この列車は音楽用語の「アレグロ」（Allegro）という名前が付けられており、速いという意味を持っています。元々、両都市間の所要時間は約5時間半を要していましたが、「アレグロ」の運行開始により、3時間27分に短縮されました。

運行当初は1日2往復でしたが、2011年5月には増発され、さらにヘルシンキとモスクワを結ぶ夜行列車「トルストイ号」の運行も継続されていました。この列車の運行は、フィンランドとロシア間の交通手段の一つとして非常に重要な役割を果たしていました。

乗客の利便性向上

フィンランド・ロシア間の移動には通常査証が必要ですが、「アレグロ」ではこの手続きを列車内で行うことにより、検査による遅延を軽減しました。従来の方法では、パスポートおよび税関の検査によって30分以上運行が遅れることもありました。運行初年度、乗客数は予想を大きく上回る28万人に達し、2019年にはそれが倍増し56万人となりました。このころには、運行回数も1日4往復に達していました。

新型コロナウイルスによる影響

しかし、2019年末から新型コロナウイルスの影響が顕在化し、2020年3月には「アレグロ」の運行が停止されました。2021年12月12日には運行が再開されましたが、利用客は両国のいずれかの国籍を持つ者に限定されていました。

さらに、2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まると、フィンランド政府はEU諸国と協調してロシアへの経済制裁を実施し、両国の関係は悪化しました。それでも、フィンランド国民の帰国理由から一時的に運行が続けられましたが、フィンランド政府が鉄道運行の停止をVRに通告し、2022年3月27日をもって「アレグロ」の運行は終了しました。

債務と今後の展開

「アレグロ」の運行停止後、ロシア鉄道は当社に対し債務を履行せず、その解決に向けて1年半にわたる交渉が行われましたが結論に至りませんでした。最終的には、VRがこの債務を引き受け、「アレグロ」の車両4編成が抵当に入ることとなりました。これらの車両は2023年12月に取得され、2025年からフィンランド国内の長距離列車に使用される予定です。

車両概要

使用されている車両は、フィンランド国内で導入されていた「ペンドリーノ」シリーズの一部であり、特に新型の「ペンドリーノ」（イタリア国鉄ETR600電車）を基にした7両編成のSm6電車が適用されています。これらの車両は、フィンランドの交流25 kVとロシアの直流3 kVの両方に対応しており、さらにフィンランドの軌間1,524 mmとロシアの1,520 mmの両方で220 km/hの速度で運行可能です。

まとめ

カレリアントレインズの運行は、フィンランドとロシアの人々にとって重要な移動手段でしたが、さまざまな歴史的な要因によって運行が困難な状況に直面しています。今後の展開に注目が集まります。

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