カワマス

カワマス (Brook Trout)

カワマス（学名: Salvelinus fontinalis）は、サケ科に属する魚で、英語では一般的に「brook trout」と呼ばれています。マスという名前がついていますが、実際にはイワナの仲間です。

特徴

外観: 緑から茶色の体色に、虫食い状の大理石模様が特徴的です。横腹には青い光輪に囲まれた赤い点があります。繁殖期には、オスのお腹が鮮やかな赤やオレンジ色になります。
サイズ: 通常は25-65cm程度ですが、最大で86cm、6.8kgに達する個体も記録されています。
生息地: 北アメリカ東部の小川、湖、湧水池に生息しています。一部には、産卵のために川を遡る降河性の個体もいます。
食性: 動物食性で、甲殻類、昆虫、小型魚類、両生類、哺乳類など、様々な生物を捕食します。

生態

カワマスは、澄んで冷たい水を好みます。水質汚染や酸性雨には弱く、水温やpHの変化にも敏感です。寿命は通常4-5年程度ですが、7年以上生きる個体もいます。

産卵

秋から冬にかけて、メスは川底に産卵床を作り、卵を産み付けます。オスはメスに寄り添い、放精を行います。メスは砂利で卵を覆い、保護します。卵は約100日で孵化します。

回遊

一部のカワマスは、春から夏にかけて海で過ごし、秋に産卵のために川に戻ります。これらの個体は「salters」または「sea run」と呼ばれます。スペリオル湖に生息する回遊性のカワマスは、特に「コースター」(coaster)と呼ばれ、他の個体群よりも大型になる傾向があります。

人間との関わり

カワマスは、釣り人に人気のターゲットです。近年では、個体数維持のため、キャッチ・アンド・リリースを推奨する釣り人も増えています。また、環境保護団体などが中心となり、カワマスの生息環境を守るための活動が行われています。

食用

カワマスは食用としても利用され、生鮮または燻製で販売されています。カワマスは水質汚染の影響を受けやすいため、水質調査の指標としても用いられています。

外来種問題

カワマスは、その人気から世界各地に人為的に導入されました。しかし、一部地域では在来種に悪影響を与える事例が報告されています。日本では、1902年に導入され、現在では各地で繁殖が確認されています。生態系への影響が懸念され、「生態系被害防止外来種」に指定されています。

保護の現状

カワマスの個体数は、生息地の破壊や水質汚染などにより減少しています。そのため、多くの地域でカワマスの保護活動が行われています。例えば、河川の浄化、森林の再生、ダムの撤去などです。また、カワマスの放流や、釣り規制なども行われています。

オーロラマス

酸性雨の影響で絶滅した亜種が存在します。

名前の由来

種小名fontinalisは、ラテン語で「泉」や「噴水」を意味する言葉に由来します。

州の魚

カワマスは、アメリカ合衆国の複数の州で「州の魚」に指定されています。

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