カワード2世

カワード2世（在位：628年）は、サーサーン朝ペルシアの王でした。父であるホスロー2世によって幽閉されていましたが、628年に貴族たちのクーデターによって解放され、王位に就きました。

即位後、カワード2世は父ホスロー2世とその兄弟を皆殺害しました。これは、王位を確固たるものとするための冷酷な決断でした。彼の治世において重要な政策の一つは、キリスト教徒に対する信教の自由を認めたことです。これにより、国内の宗教的緊張を緩和し、支持基盤を広げようとしました。

カワード2世は、長きにわたる東ローマ・サーサーン戦争を終結させたことでも知られています。彼は東ローマ帝国との和平交渉を行い、両国の関係を修復しました。この和平は、サーサーン朝にとって経済的な負担を軽減し、国内の安定を取り戻す上で重要な意味を持っていました。

しかし、カワード2世の治世は長くは続きませんでした。即位から間もなく、彼は「シュロエの疫病」と呼ばれる伝染病（おそらくペスト）に罹患し、崩御しました。彼の死後、わずか7歳であった息子のアルダシール3世が王位を継承しましたが、幼い王のもとでサーサーン朝は急速に衰退していくことになります。

カワード2世の短い治世は、サーサーン朝の転換期を象徴しています。彼の和平政策は一時的な安定をもたらしましたが、その後の混乱と衰退を食い止めることはできませんでした。彼の死後、サーサーン朝は内紛と外敵の侵入に苦しみ、最終的にはイスラム帝国の侵攻によって滅亡することになります。

参考文献:
* Neusner, Jacob (1990). Judaism, Christianity, and Zoroastrianism in Talmudic Babylonia. Scholars Press. ISBN 9781555404741

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