ホスロー2世

ホスロー2世：サーサーン朝最後の栄光と悲劇の王

ホスロー2世（在位590年 - 628年）は、サーサーン朝ペルシアの王であり、その治世は帝国の最盛期と衰退の始まりを象徴しています。「勝利者」を意味する「アパルヴェーズ」の異名を持ち、文化的な英雄としても名を残しています。

王位を巡る争いとビザンツ帝国の支援

ホスロー2世は、ホルミズド4世の子として生まれました。しかし、即位直後にバフラーム・チョービンの反乱により王位を追われ、ビザンツ帝国へ亡命。ビザンツ皇帝マウリキウスの支援を得て王位を奪還し、その見返りとして領土の一部を割譲しました。

ビザンツ帝国との大戦争

602年、マウリキウスが暗殺されると、ホスロー2世は復讐を名目にビザンツ帝国への侵攻を開始。将軍シャフルバラーズの活躍により、シリア、エジプト、小アジアを次々と占領し、一時はコンスタンティノープルを包囲するまでに至りました。しかし、ビザンツ皇帝ヘラクレイオスの反撃により形勢は逆転。レヴァント、アナトリアを奪還され、首都クテシフォンまで進軍される事態となりました。

文化的な英雄としての側面

ホスロー2世は、『シャー・ナーメ』やニザーミーの『ホスローとシーリーン』などのペルシア文学に登場し、文化的な英雄として描かれています。特に『ホスローとシーリーン』は、ホスロー2世とアラム人（またはローマ人）の王女シーリーンの悲恋物語として有名です。

宗教政策と晩年

ホスロー2世は、キリスト教徒のシーリーンを妃に迎え、キリスト教にも寛容な政策を取りました。しかし、ゾロアスター教の神官からの反発を招き、宗教的な対立も生じました。晩年は、ビザンツ帝国との戦争の失敗や、国内の混乱により権威を失墜。628年、息子のカワード2世によって廃位され、処刑されました。

ホスロー2世の評価

ホスロー2世は、サーサーン朝最後の偉大な王として、その軍事的な成功と文化的な貢献が評価されています。しかし、晩年の失政により帝国を衰退させた責任も指摘されています。彼の治世は、サーサーン朝の栄光と没落を象徴する時代として、歴史に刻まれています。

後世への影響

ホスロー2世の物語は、ペルシア文学や美術に大きな影響を与え、後世の文化に深く根付いています。彼のロマンスや軍事的な冒険は、多くの人々に語り継がれ、様々な形で表現されています。

シャー・ナーメ
ホスローとシーリーン
ベヒストゥン碑文
ベヒストゥン宮殿

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