カンジンダム

カンジンダムは、沖縄県島尻郡久米島町に存在する地下ダムであり、2010年に農林水産省の「ため池百選」に選定されたカンジン貯水池として知られています。

概要

このダムは、雨水に大きく依存してきた久米島のような島嶼地域において、安定した灌漑用水を確保するために建設されました。特筆すべきは、琉球石灰岩の地形に自然に形成された凹地（ウバーレ）を利用した、世界初の地表湛水型地下ダムであるという点です。2005年に完成し、島の農業を支える重要な役割を果たしています。

自然環境との調和

カンジンダムのダム湖は、県指定天然記念物であるクメジマボタルをはじめとするホタルの貴重な生息地となっています。地域住民による保全活動も活発で、「久米島ホタル館」や「久米島ホタルの会」が中心となり、サガリバナの植栽やフナの放流など、自然環境の保護と育成に力を入れています。また、自然学習の場としても活用され、地域における環境教育にも貢献しています。

ダム周辺地域は、「久米島の渓流・湿地」として2008年にラムサール条約湿地に登録されており、国際的にも重要な湿地として認識されています。この地域には、キクザトサワヘビやリュウキュウヤマガメといった絶滅危惧種の固有種を含む、多様な動植物が生息しており、生物多様性の保全においても重要な場所となっています。

カンジンダムは、単なる灌漑施設としてだけでなく、地域の自然環境と調和し、生物多様性を守る役割も担っています。その独特な構造と地域住民の保全活動が、貴重な生態系を維持し、次世代へと繋げていく上で重要な意味を持っています。

関連情報：
福里ダム
カルスト台地
久米島

外部リンク：
カンジンダム - ダム便覧
ため池百選
久米島ホタルの会だより
内閣府沖縄総合事務局農林水産部 水と農業のかかわりHP
農をささえる地下ダム-沖縄総合事務局

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