カンタロープ

カンタロープメロン：特徴、種類、日本での利用

カンタロープメロンは、ヨーロッパ南部、アメリカ、タイなどで露地栽培されている赤肉種のマスクメロンです。キャンタロープとも呼ばれ、和名では疣（いぼ）メロンとして知られています。

概要

北米産のカンタロープは、アメリカ合衆国、メキシコ、カナダの一部で広く親しまれています。一方、ヨーロッパ産のカンタロープは、表面の突起が小さく、緑灰色がかった表皮が特徴で、北米種とは見た目が大きく異なります。イタリアでは、生ハムメロンの材料として使用されます。本来の生ハムメロンにはカンタロープが用いられますが、日本では一般的ではないため、マスクメロンが代用されることが多いです。また、カンタロープは家畜の飼料やドライメロンなどの加工品としても利用されています。

食中毒

2010年にはアメリカ合衆国で、カンタロープを原因とするリステリア菌による食中毒が発生し、33名が死亡する痛ましい事故がありました。2023年にもミネソタ州で、カンタロープを原因とするサルモネラ菌による食中毒が発生し、2名が死亡しています。これらの事故を受けて、カンタロープを流通させた企業はリコールを実施しました。食品安全には十分な注意が必要です。

日本での利用

現在、日本では主に中米産のカンタロープが生の果物として、タイ産のものがドライメロンなどの加工品として輸入・販売されています。かつて日本ではなじみの薄い品種でしたが、後継品種であるスパイシーカンタローブとして導入された経緯があります。近年まで、日本では主に加工品として消費されてきました。

2016年には、ホンジュラス産のカンタロープ種の輸入が解禁され、「カリビアンスイート」という名称で、全国のスーパーマーケットなどで生果やカットフルーツとして販売されています。また、同年にはスターバックスコーヒージャパンが期間限定で「カンタロープ メロン & クリーム フラペチーノ®」を販売し、話題となりました。コストコでは、コスタリカ産またはグアテマラ産のカンタロープが輸入販売されています。

主な後継品種

カンタロープには、さまざまな後継品種が存在します。

スパイシーカンタローブ
カンタロープを品種改良したもので、夕張メロンの親として知られています。寒さに強く、赤い果肉と強い甘い香りが特徴ですが、糖度は低めです。北海道では加工用として利用されたり、砂糖をまぶして食べられていました。
トスカナカンタロープ
イタリア・トスカナ地方原産のメロンで、カンタロープを品種改良したものです。ラグビーボールのような形で、縦縞に緑色の溝が入っています。日本のメロンのように甘く、種の部分がカボチャに似ています。ヨーロッパやアメリカでよく食べられています。
スペインメロン
ラグビーボール型の形状で、果皮は深緑色で硬く、縦縞の模様が入っています。果肉は青白色で、マスクメロンの一種です。スペイン、アメリカ（カリフォルニア州）、チリで生産されています。
シャラントメロン
フランス・シャラント地方原産のメロンで、スペインメロンの交配種です。果皮は黄色で、縦縞に緑色の溝が入っています。果肉は赤肉系の橙色をしています。
シャランティーズメロン
シャラントメロンの後継品種です。
プリンスメロン
日本で開発されたメロンで、マクワウリとシャラントメロンの交配種です。日本における大衆メロンの先駆けであり、現在も人気があります。

カンタロープメロンは、その多様な品種と風味で、世界中で親しまれています。日本でも、様々な形で楽しめるようになってきており、今後の広がりが期待されます。

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