カンペルレ

カンペルレ：ブルターニュ地方の合流点に栄える歴史都市

フランス、ブルターニュ地方フィニステール県南東部に位置するカンペルレ（Quimperlé、ブルトン語: Kemperle）は、エレ川とイゾル川が合流しライタ川となる地点に広がる歴史都市です。ブルトン語で「合流点」を意味する地名は、その地理的特徴を如実に表しています。

地理と歴史的発展

カンペルレは、ロリアンやカンペールからも比較的近く、古くからコルヌアイユ地方の中心として栄えてきました。町は、標高の高いヴィル・オート（高い町）と、川沿いの低いヴィル・バス（低い町）の2つの地区に分かれています。ヴィル・バスは、11世紀に建設されたベネディクト会派のサント・クロワ修道院を中心に発展しました。この修道院は、コルヌアイユ伯やブルターニュ公の庇護を受け、地域の政治・経済の中枢として大きな影響力を持っていました。

サント・クロワ修道院は、町の核であり、13世紀以降は防御壁で囲まれた聖域として機能しました。人口増加に伴い町は拡大し、修道院と勢力を均衡させるため、1264年にはブルターニュ公ジャン1世によってドミニコ会修道院（ブランシュ修道院）が建設されました。ヴィル・オートは、サン・ミシェル教会を中心とした商人たちの街として発展しました。

ヴィル・バスは、エレ川とイゾル川の合流地点に位置する半島部を占め、2つの川を繋ぐ堀によって人工島のように形成されています。かつては洪水の影響を受けやすく、ブリゾーやシュルクフの河岸はしばしばライタ川の水位の上昇に見舞われました。一方、ヴィル・オートはサン・ミシェル山とともに高台に位置し、洪水被害の影響を受けにくい地域でした。

サント・クロワ修道院の修道院長は、地域の封建領主、行政長、裁判官、警察機関の長を兼ねる絶大な権力を持っていました。修道院は、教区内の全ての教会に対する司教権も有していました。

1862年から1863年には鉄道駅が建設され、都市は西へ拡大しました。近年は、近隣のコミューンとの一体化が進み、カンペルレ都市圏はますます広がりを見せています。

先史時代から現代まで

カンペルレ周辺では、旧石器時代の遺跡も発見されており、ネアンデルタール人が居住していた可能性が示唆されています。ただし、先史時代の定住地跡は、まだ確認されていません。5世紀には、グレートブリテン島出身の公にちなんだvilla Anaurotと呼ばれていた集落があったとされています。

11世紀にはサント・クロワ修道院が建設され、中世を通してカンペルレは重要な役割を果たしました。ブルターニュ継承戦争では、ジャン・ド・モンフォールを支持したカンペルレは、彼をドミニコ会修道院付属教会に埋葬しました。第二次世界大戦では、近隣の都市とは異なり、爆撃の被害を免れました。

現在、カンペルレは、伝統的なブルトン音楽の楽団バガド・ブロ・カンペルレでも知られています。また、1989年にはブルトン語とフランス語の二言語教育を行う学校が開設され、2008年にはブルトン語の使用促進憲章が批准されるなど、ブルトン文化の継承にも力を入れています。

交通

カンペルレにはTGVの大西洋線が停車し、パリからのアクセスも良好です。約4時間でカンペルレに到着できます。

まとめ

カンペルレは、歴史、文化、自然が調和した魅力的な都市です。古くからの街並みやブルトン文化、そして便利な交通アクセスは、多くの観光客を惹きつけます。エレ川とイゾル川の合流点という、その独特の地理的条件が、歴史と文化を育んできたと言えるでしょう。

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