カンボジアの政党一覧

カンボジアの政党勢力図：歴史的背景と主要政党の解説

カンボジアの政党は、1979年から1991年まで続いた内戦の影響を色濃く残しています。主要な政党は、当時の対立勢力であったカンボジア人民共和国（人民革命党）と、ポル・ポト派を中心とする民主カンプチア連合政府に参加していた勢力（クメール人民民族解放戦線・フンシンペック）の流れを汲んでいます。

この内戦時代の「親越（人民革命党→人民党）・反越（サムランシー党・フンシンペック→カンボジア救国党）」という対立構造が、現在まで引き継がれています。2013年の総選挙では、人民党が過半数を維持しましたが、サム・ランシー党と人権党が合同して発足したカンボジア救国党も議席を大きく伸ばしました。

主要政党

与党

カンボジア人民党

1979年に再建されたカンボジア人民革命党（1991年10月に現党名に改称）を前身とする政党です。ベトナムとの関係が深く、社会主義的な政策を掲げています。

フンシンペック

正式名称は「独立・中立・平和・協力のカンボジアのための民族統一戦線」です。1981年に結成され、民主カンプチア連合政府（3派連合政府）の一翼を担いました。王党派の流れを汲み、ノロドム・シハヌーク殿下を支持基盤としています。

野党

ノロドム・ラナリット党

ノロドム・ラナリット殿下が党首を務める政党です。かつてはフンシンペックと連携していましたが、分裂と再編を経て現在に至ります。2009年6月から2010年12月の間は「愛国党」と名乗っていました。2012年5月にフンシンペックとの合同を発表、同年8月に再び党名を「愛国党」に改称しました。
民主主義同盟党

2006年結党。中道左派の政党です。党首はKhem Veasna。

過去に存在した政党

サンクム（人民社会主義共同体）

ノロドム・シハヌークによるカンボジア王国 (1954年-1970年)時代の事実上の一党支配政党でした。シハヌーク殿下のカリスマ性と農村部での支持を背景に、安定した政権運営を行いました。

クメール・ルージュ（カンボジア共産党／民主カンプチア党）

ポル・ポト率いる極端な共産主義勢力です。1975年から1979年までカンボジアを支配し、大量虐殺を行いました。

仏教自由民主党

ソン・サン派（クメール人民民族解放戦線）を母体とする政党です。1995年に党が分裂し衰退しました。

サム・ランシー党

フンシンペックを除名されたサム・ランシーが1995年11月に結成した「クメール国民党」（1998年3月に現党名に改称）を前身とする政党です。反政府的な立場を鮮明にし、都市部を中心に支持を集めました。

人権党

人権活動家ケム・ソカーが2007年1月に結成した政党です。人権問題や民主化を訴え、若者を中心に支持を広げました。

カンボジア救国党

2012年10月、サム・ランシー党と人権党が合同して結成されました。党首はサム・ランシー。2017年結社禁止。

まとめ

カンボジアの政党は、内戦の歴史と複雑な人間関係が絡み合っています。主要政党の動向を理解することは、カンボジアの政治情勢を把握する上で不可欠です。

参考文献
アジア経済研究所「アジア動向データベース」
天川直子編『カンボジア新時代』アジア経済研究所＜IDE-JETRO研究双書No539＞

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