カンムリヅル属

カンムリヅル属について

カンムリヅル属（カンムリヅルぞく、Balearica）は、ツル目ツル科に位置し、独自の亜科を形成しています。属の中の代表的な種はカンムリヅルです。この鳥は主にアフリカ大陸のサハラ砂漠以南に生息しています。

形態特徴

カンムリヅルは全長が95から100センチメートルに達し、全体は灰黒色の羽毛に覆われています。特に後頭部には黄褐色の長い羽毛、いわゆる冠羽が目立ちます。また、後頸部や胸部も長い羽毛で覆われており、美しい姿を作り出します。翼の大雨覆は白色であり、静止時の三列風切羽は尾羽を覆わないという特徴があります。

羽毛が特徴的である一方、眼先や顔、喉は羽毛が無く皮膚が露出していて、喉には肉垂があります。嘴は比較的短めで、鼻孔は楕円形です。さらに、気管は曲がりくねっておらず、気道はまっすぐです。卵は淡青色で、1回の産卵で2から4個の卵を産むことが一般的です。

分類と系統

カンムリヅル属はツル科の中でも原始的な形態を残していると考えられています。ホオジロカンムリヅルがカンムリヅルの亜種に位置づけられる場合もあります。カンムリヅル属には主に二つの種があり、以下の通りです。

• - Balearica pavonina：カンムリヅル（Black crowned crane）
• - Balearica regulorum：ホオジロカンムリヅル（Gray crowned crane）

生態と生活様式

カンムリヅルは湿原や池、河川、農耕地など、さまざまな水辺の環境に生息しています。主に昼間に活動し、非繁殖期には大きな群れを作って生活する傾向があります。この鳥は動物食傾向が強い雑食性で、昆虫や甲殻類、爬虫類、小型哺乳類、果物、種子などを食べます。食物を捕らえる際には、地面を叩いて昆虫を飛ばし、その際に捕食するスタイルが見られます。

繁殖期には、カンムリヅルは草やその他の植生を使って巣を作ります。ホオジロカンムリヅルは時折樹上に巣を作ることもありますが、基本的には地面に塚状の巣を形成します。雌と雄が交代で抱卵し、通常2から4個の卵を温めます。

人間との関り

カンムリヅルは、人間によって害虫や蛇の駆除に利用されることもありますが、逆に農作物に影響を与える害鳥と見なされることもあります。このように、彼らの生態や行動は人間活動に影響を与えるため、地域によって評価が分かれることがあります。

参考文献

• - 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥I』、平凡社、1986年。
• - 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年。
• - 中村登流監修 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年。

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