カーティス・ボタニカル・マガジン
『カーティス・ボタニカル・マガジン』（Curtis's Botanical Magazine、The Botanical Magazine; 副題 Flower-Garden Displayed）は、1787年に創刊された、世界で最も歴史のある植物画雑誌の一つです。創刊者は薬剤師であり、キューガーデンで働いていたウィリアム・カーティスです。
カーティスは、それ以前に豪華な植物図鑑『ロンドンの植物』を出版しましたが、売れ行きは芳しくありませんでした。そこで、より手軽な八折り判の雑誌として『カーティス・ボタニカル・マガジン』を創刊しました。初期の図版は、手彩色された銅版画で、花の断面図と共に、植物の性質、歴史、生育環境、一般的な名称などが詳細に解説されていました。各図版には1ページから2ページの解説文が添えられ、読者の植物に対する理解を深める役割を果たしました。
初期の植物画は、主にシデナム・エドワーズが担当しましたが、カーティスの死後、編集を引き継いだジョン・シムとエドワーズとの間に意見の対立が生じました。その結果、エドワーズは独自に植物雑誌『ボタニカル・レジスター』を創刊することになりました。創刊から30巻までは銅版画が用いられ、手作業で彩色するために、多い時には30人もの作業者が雇われていました。しかし、価格の上昇と需要の増加に対応するため、手彩色から機械的な彩色に切り替えられました。これにより、品質は安定しましたが、手彩色のような緻密さを得るには長い時間を要しました。
1800年にウィリアム・カーティスが亡くなると、1801年から1807年まで、友人のジョン・シムズが編集を引き継ぎました。その後、1826年からは、植物学者でキューガーデンの園長でもあったウィリアム・ジャクソン・フッカーが編集を担当しました。フッカーは、植物画家のウォルター・フィッチを雇い、フィッチは40年もの間、メインの画家として活躍しました。1865年には、ジョセフ・ダルトン・フッカーが父親の後を継いでキューガーデンの園長となり、同時に『ボタニカル・マガジン』の編集も引き継ぎました。
さらにその後、ジョセフ・ダルトン・フッカーのいとこであるマチルダ・スミスが、1878年から1923年までの長きにわたり、2,300点以上もの図版を『ボタニカル・マガジン』のために描きました。この功績により、スミスは女性として2人目のロンドン・リンネ協会の会員に選ばれました。その他にも、リリアン・スネリングなど、多くの著名な画家たちがこの雑誌に貢献しています。
『カーティス・ボタニカル・マガジン』は、出版を続け、1984年から1994年までの間は『キュー・マガジン』と改名されましたが、1995年に再び『カーティス・ボタニカル・マガジン』に戻り、現在もキューガーデン（王立植物園）によって出版されています。この雑誌は、植物学の発展に大きく貢献し、また、その美しい植物画は、美術史においても重要な役割を果たしています。創刊から200年以上経った今日でも、植物愛好家や研究者にとって欠かせない存在です。
関連項目
植物画譜の一覧
関連文献
Rix, Martyn, ed. “Curtis's Botanical Magazine”. Scientific Publications: Journals (キューガーデン出版). ISSN 1355-4905.
Cahill, Hugh (10 May 2006). “Case 3: William Curtis and The Botanical Magazine”. Nature observed: The work of the botanical artist. キングス・カレッジ・ロンドン.
“Curtis's Botanical Magazine. Kew”. IPNI (2 July 2003).
Gardham, Julie (October 2004). “Curtis's Botanical Magazine”. Special Collections Department: Book of the Month. グラスゴー大学図書館.
外部リンク
Details - Curtis's botanical magazine. - Biodiversity Heritage Library
カーティスは、それ以前に豪華な植物図鑑『ロンドンの植物』を出版しましたが、売れ行きは芳しくありませんでした。そこで、より手軽な八折り判の雑誌として『カーティス・ボタニカル・マガジン』を創刊しました。初期の図版は、手彩色された銅版画で、花の断面図と共に、植物の性質、歴史、生育環境、一般的な名称などが詳細に解説されていました。各図版には1ページから2ページの解説文が添えられ、読者の植物に対する理解を深める役割を果たしました。
初期の植物画は、主にシデナム・エドワーズが担当しましたが、カーティスの死後、編集を引き継いだジョン・シムとエドワーズとの間に意見の対立が生じました。その結果、エドワーズは独自に植物雑誌『ボタニカル・レジスター』を創刊することになりました。創刊から30巻までは銅版画が用いられ、手作業で彩色するために、多い時には30人もの作業者が雇われていました。しかし、価格の上昇と需要の増加に対応するため、手彩色から機械的な彩色に切り替えられました。これにより、品質は安定しましたが、手彩色のような緻密さを得るには長い時間を要しました。
1800年にウィリアム・カーティスが亡くなると、1801年から1807年まで、友人のジョン・シムズが編集を引き継ぎました。その後、1826年からは、植物学者でキューガーデンの園長でもあったウィリアム・ジャクソン・フッカーが編集を担当しました。フッカーは、植物画家のウォルター・フィッチを雇い、フィッチは40年もの間、メインの画家として活躍しました。1865年には、ジョセフ・ダルトン・フッカーが父親の後を継いでキューガーデンの園長となり、同時に『ボタニカル・マガジン』の編集も引き継ぎました。
さらにその後、ジョセフ・ダルトン・フッカーのいとこであるマチルダ・スミスが、1878年から1923年までの長きにわたり、2,300点以上もの図版を『ボタニカル・マガジン』のために描きました。この功績により、スミスは女性として2人目のロンドン・リンネ協会の会員に選ばれました。その他にも、リリアン・スネリングなど、多くの著名な画家たちがこの雑誌に貢献しています。
『カーティス・ボタニカル・マガジン』は、出版を続け、1984年から1994年までの間は『キュー・マガジン』と改名されましたが、1995年に再び『カーティス・ボタニカル・マガジン』に戻り、現在もキューガーデン（王立植物園）によって出版されています。この雑誌は、植物学の発展に大きく貢献し、また、その美しい植物画は、美術史においても重要な役割を果たしています。創刊から200年以上経った今日でも、植物愛好家や研究者にとって欠かせない存在です。
関連項目
植物画譜の一覧
関連文献
Rix, Martyn, ed. “Curtis's Botanical Magazine”. Scientific Publications: Journals (キューガーデン出版). ISSN 1355-4905.
Cahill, Hugh (10 May 2006). “Case 3: William Curtis and The Botanical Magazine”. Nature observed: The work of the botanical artist. キングス・カレッジ・ロンドン.
“Curtis's Botanical Magazine. Kew”. IPNI (2 July 2003).
Gardham, Julie (October 2004). “Curtis's Botanical Magazine”. Special Collections Department: Book of the Month. グラスゴー大学図書館.
外部リンク
Details - Curtis's botanical magazine. - Biodiversity Heritage Library
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