カーニアン

カーニアン期の概要

カーニアン（Carnian）は、約2億3700万年前から約2億2700万年前にかけて存在した後期三畳紀における重要な地質時代です。その名称は、オーストリアに位置するケルンテン地域から名付けられ、日本語ではしばしば「カールニア期」や「カルン期」といった別名でも呼ばれています。この時代の特徴を理解するためには、地層学の視点を持つことが必要です。

層序学的な意義

カーニアンという名称は、1869年にヨハン・オーガスト・ゲオルグ・エドモンド・モジソヴィッチ・フォン・モジスバーによって初めて使用されました。この名前は、オーストリアのハルシュタットで見られる石灰岩の一部を指すもので、以降地質時代の定義がなされることとなりました。具体的に、カーニアン階の基底は、アンモナイトの一種である Daxatina canadensis が出現する層序記録の地点で定義されています。この基底は、イタリアの南ティロル地域にあるStuores-Wiesenという場所に成り立っています。

カーニアン期の重要な出来事

この時代には、約2億3000万年前に「カーニアン多雨事象」という現象が発生し、地球全体的な気候の変化や生物の変遷が見られました。これにより、乾燥した気候が長期間にわたって湿潤に変化し、多くの生物種、特にアンモナイトやコノドント、外肛動物そしてウミユリ綱が絶滅しました。この湿潤化イベント後は、恐竜や鱗竜類が新たに登場し、球果植物や石灰質の微生物、イシサンゴ目が繁栄しました。

カーニアンからヘッタンギアンにわたるこの時期は、特に二枚貝の種類が急激に増加したことが特徴です。また、原始的な恐竜であるエオラプトルはこの時期に生息しており、恐竜が地球に現れ始めた重要な時代でもあります。

日本におけるカーニアン期の証拠

日本でもカーニアン期の痕跡が見られ、特に岐阜県犬山地域の美濃帯上部三畳系が挙げられます。この地域ではノーリアン期の境界を除く部分でカーニアンからT-J境界までの古地磁気が確認されています。調査によれば、三畳系の各セクションは、カーニアンからノーリアン期にかけて、北半球の低緯度及び高緯度において堆積したことが示唆されています。

山口県の秋吉帯の堆積物も検討されており、大嶺地域の三畳系は1939年に平原層、桃ノ木層、麻生層に区分けされています。この麻生層はカーニアンからノーリアン、またはレーティアン階に分類されることが多いです。さらに、西南日本内帯の京都府丹波帯や徳島県の秩父南帯からは、後期三畳系のコノドント化石が発見され、これらの地域はカーニアン期にはパンサラッサ海の低緯度地域にあったと考えられています。

また、九州地方では熊本県五木村元井谷の火山砕屑岩層から二枚貝化石が発見され、これにより同層がカーニアン階である可能性が示されています。

まとめ

カーニアンは後期三畳紀の中でも特に重要な時代であり、その影響は日本国内でも多くの地質調査によって明らかになっています。気候の変動や生物相の変化、それに伴う様々な生態系の形成が証明されており、カーニアン期は地球の歴史を理解する上で欠かせない要素となっています。

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