カーマ・スートラ・レコード

カーマ・スートラ・レコード（Kama Sutra Records）は、1960年代後半から1970年代前半にかけてアメリカ合衆国で活動を展開したレコードレーベルです。その名はサンスクリット語で「性愛の教典」を意味する「カーマ・スートラ」に由来しています。このレーベルは多くのヒット曲を生み出し、特にフォークロックバンド、ラヴィン・スプーンフルの成功は特筆されます。後に、1980年代にはスートラ・レコード（Sutra Records）として活動を再開しましたが、1993年に連邦倒産法の適用を受け、その歴史に幕を閉じることとなりました。

起源：カーマ・スートラ・プロダクション

カーマ・スートラ・レコードのルーツは、1964年に設立された音楽制作チーム、カーマ・スートラ・プロダクションに遡ります。この集団は、アーサー・"アーティー"・リップ（Arthur "Artie" Ripp）が中心となり、ハイ・ミズラヒ（Hy Mizrahi）やフィル・ステインバーグ（Phil Steinberg）らが参加していました。初期には、後に活躍するガールズグループ、シャングリラスに楽曲を提供するなど、制作プロダクションとしての活動は順調に進みました。

レコードレーベルとしての船出

制作プロダクションとして成功を収めた後、事業はレコードレーベルへと発展します。1965年には、当時MGMレコードで経理を担当していたアート・キャス（Art Kass）が経営陣に加わったことで、レコードレーベルとしての事業が正式に開始されました。レーベル設立初年度には、ラヴィン・スプーンフルのシングル「魔法を信じるかい? (Do You Believe in Magic)」が、全米チャートで9位まで上昇する大ヒットを記録し、レーベルの存在感を一気に高めました。この成功を皮切りに、ラヴィン・スプーンフルは立て続けにヒット曲をカーマ・スートラからリリースし、レーベルの初期の柱となりました。

流通網の変遷

設立当初、カーマ・スートラ・レコードは外部のレコード会社と配給契約を結んでいました。1965年から1969年までの間はMGMレコードがその役割を担っていましたが、1969年以降は、同じ経営母体の下にあったブッダ・レコード（Buddah Records）が流通を担当するようになりました。これにより、レーベル運営と流通がより密接に連携することとなります。

スートラ・レコードとしての再出発と終焉

1976年半ばに、カーマ・スートラ・レコードはレコード会社としての活動を一旦休止します。しかし、1981年にはアート・キャスを中心にスートラ・レコード（Sutra Records）として再び音楽業界での活動を開始しました。スートラ・レコード名義では、自身のリリースに加え、Fever Records、Blue Dog Records、Baila Records、Becket Recordsといった他のレーベルの販売や流通も手掛けました。この時期には、the Cover Girls、the Fat Boys、Victor Willisなどのアーティストとの契約も結び、様々なジャンルの音楽を手広く扱いましたが、残念ながら経営は軌道に乗らず、1993年には連邦倒産法第7章に基づく破産手続きに入り、その活動を終えました。

現在のカタログ所有権

カーマ・スートラ・レコードがリリースした過去の音源カタログは、現在、ソニー・ミュージックエンタテインメント (米国)が所有しており、レガシー・レコーディングスが管理を行っています。一方、1981年から1993年にかけてスートラ・レコードからリリースされた音源の権利は、ユニディスク・ミュージック（Unidisc Music）が保有しています。

主な所属アーティスト

カーマ・スートラ・レコードおよびスートラ・レコードからは、以下のような多岐にわたるアーティストの作品がリリースされました。

Brewer & Shipley
Gordon Brisker
チャーリー・ダニエルズ・バンド
Dust
Exuma
フレイミン・グルーヴィーズ
Gunhill Road
Hackamore Brick
The Innocence
The Jaggerz
ラヴィン・スプーンフル
NRBQ
Ocean
シャ・ナ・ナ
Sopwith Camel
Stories
The Trade Winds
Royal Cash

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