カールスバーグ

カールスバーグ：デンマークが生んだグローバルビールブランド

1847年、デンマークのコペンハーゲンでJ.C.ヤコブセンによって創業されたカールスバーグ社は、その社名にもなっているビールブランドで世界的に知られています。創業者ヤコブセンは、息子のカールにちなんで醸造所に「カールの山」を意味するCarlsbergと名付けました。現在では世界第4位のビールメーカーとして、140か国以上に製品を輸出しています。

発展の歴史：技術革新と競争

カールスバーグ社の歴史は、技術革新と家族間の確執、そして企業買収というドラマチックな出来事の連続です。1875年にはビール醸造の研究機関であるカールスバーグ研究所を設立。ここで開発された純粋培養技術は、ビールの大量生産を可能にしました。また、カールスバーグ研究所では、ラガービール醸造に欠かせないカールスベルゲンシス酵母を培養することに成功しました。

しかし、順風満帆とは限りません。創業者ヤコブセンの息子カールは、父と対立して別会社を設立。激しい競争を繰り広げた「ニュー・カールスバーグ」社と「オールド・カールスバーグ」社は、1906年に合併しました。その後も、カールスバーグ社は積極的な買収戦略を展開。ツボルグ、テトリーズ、クローネンブルグなど、数々のビールメーカーを買収し、グローバル企業へと成長を遂げました。特に中国市場への進出は積極的で、上海をはじめ、中国各地に生産拠点を持つとともに、アジア各国への輸出拠点としても機能しています。2022年のロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア市場からの撤退を表明したことも記憶に新しいところです。

ブランドと製品：王室御用達と多様なラインナップ

カールスバーグビールは、デンマーク王室御用達ブランドであり、そのロゴにも王冠のマークが使用されています。主力製品であるカールスバーグ・ピルスナーをはじめ、ライトビールやブラウンエールなど、多様なビールを提供しています。また、カールスバーグ社は、ツボルグブランドのビールも製造・販売しています。日本においては、かつてサントリーがライセンス生産・販売を行っていました。

社会貢献：スポーツ支援と環境への取り組み

カールスバーグ社は、スポーツにも積極的に協賛しています。UEFA欧州選手権の公式スポンサーを務めるほか、FCコペンハーゲンなどのサッカークラブを支援。香港で開催されるカールスバーグ・カップなど、国際的なサッカー大会にも名前を残しています。

近年では、環境問題への取り組みにも注力しています。2019年には、木質繊維のボトルにPET樹脂をコーティングした環境に優しいビール容器の試作品を発表しました。持続可能な社会の実現に向けた企業姿勢を示しています。

カールスバーグとコペンハーゲン：人魚姫像

カールスバーグ社は、コペンハーゲンの人魚姫像の寄贈でも知られています。2代目社長のカール・ヤコブセンが、王立劇場で観たバレエ「人魚姫」に感銘を受け、1913年にコペンハーゲン市に寄贈したものです。この像は、現在ではコペンハーゲンのシンボルとして親しまれています。さらに、大阪港天保山の人魚姫像もカールスバーグ社からの寄贈で、コペンハーゲン港と大阪港の友好を記念して作られたものです。

まとめ

カールスバーグ社は、ビール醸造技術の革新、積極的な事業展開、そして社会貢献活動を通じて、世界的なビールブランドとしての地位を確立しました。その歴史、製品、そして企業姿勢は、今後のグローバル企業のあり方の一つのモデルケースと言えるでしょう。

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