カールズバッド洞窟群国立公園

カールズバッド洞窟群国立公園は、アメリカ合衆国ニュー[[メキシコ州]]南東部に位置する、グアダルーペ山脈にある国立公園です。この公園は、ペルム紀の化石礁によって形成されたカールズバッド洞窟をはじめとする、83もの洞窟を保護しています。特にレチュギア・ケイブは、アメリカ最深かつ世界で5番目に長い石灰岩洞窟として知られています。

洞窟の探検

カールズバッド洞窟は、その巨大な地下空間と、鍾乳石、石筍、カーテン状の石灰生成物など、多様な二次生成物で飾られています。観光客は、自然の入り口から徒歩で内部を探索したり、エレベーターで洞窟の中心部まで直接アクセスしたりできます。公園内では、パークレンジャーが案内する様々なツアーも一年中開催されています。

公園の歴史

カールズバッド洞窟は、1923年に国定記念物に指定され、1930年には国立公園に昇格しました。さらに1995年には、その独特な地質学的価値と自然美が認められ、世界遺産にも登録されました。公園の約3分の2は、自然保護区域として厳重に保護されています。

公園へのアクセス

公園はクリスマスを除き一年中開園しており、特に夏期や祝日には多くの訪問者が訪れます。公園の入口は、ニュー[[メキシコ州]]カールズバッド市の南西約29キロメートル、62/180号線沿いにあります。

地質

カールズバッド洞窟の歴史は、約2億5000万年前、内海に形成された巨大な礁に始まります。この礁には、海綿、藻、貝殻の遺骸が堆積し、海水中の成分が沈殿することで、厚い石灰岩層が形成されました。その後、海水が蒸発し、岩塩と石膏の地層が石灰岩層の下に形成されました。約200万～300万年前になると、この地域が隆起し、石灰岩が地表に露出。雨水が石灰岩の裂け目に浸透し、二酸化炭素と反応して弱酸性になり、石灰岩を徐々に溶かして地下空間が形成されました。

さらに、下層の原油やガス鉱床から発生した硫化水素ガスが、地下水と反応して硫酸となり、石灰岩の溶解を加速させ、巨大な洞窟空間が形成されました。洞窟内の装飾であるつらら石や石筍などの二次生成物は、50万年以上前から形成され始め、雨水が石灰岩を溶かしながら、炭酸カルシウムを運び、洞窟内で沈殿したものです。これらの石灰生成物は、多様な形状や質感を生み出しており、洞窟の美しさを際立たせています。ヘリクタイトや霰石などの珍しい生成物も見られます。

コウモリ

カールズバッド洞窟は、約100万匹ものメキシコオヒキコウモリの生息地としても知られています。日中はバットケイブの天井に群がって休んでいるコウモリたちは、夕暮れになると一斉に飛び立ち、夜空を背景に壮大な光景を見せてくれます。コウモリたちは、メキシコから毎年繁殖のために飛来し、6月には子どもたちが生まれます。コウモリたちは夜間に大量の昆虫を捕食し、生態系において重要な役割を果たしています。

歴史

カールズバッド洞窟は、先住民によって古くから知られていた可能性があります。19世紀には、入植者たちがコウモリの群れに引きつけられ、洞窟の探索が始まりました。ジム・ホワイトというカウボーイは、洞窟の美しさに魅了され、長年かけて探検を行い、洞窟内の多くの部屋や二次生成物に名前をつけました。彼の探検と写真によって、洞窟の魅力が広く知られるようになり、1923年にはロバート・ホリーによる調査が行われ、洞窟の価値が認められました。その後、国立公園として保護されるようになり、今日では世界的に有名な観光地となっています。

洞窟の部屋

カールズバッド洞窟には、数多くの部屋があり、それぞれ特徴的な景観を持っています。

風船のダンスホール: メイン・エントランス通路上の天井に位置し、風船を浮かべて探検された。
鐘のひもの部屋: 天井から伸びる細長い鍾乳石が特徴。
ビフロスト・ルーム: 1982年に発見された、カラフルな装飾が美しい部屋。
ビッグ・ルーム: カールズバッド洞窟最大の部屋で、アメリカンフットボール場14面分の広さ。
グリーン・レイク・ルーム: マラカイト色の深いプールが特徴。
グアダルーペ・ルーム: カールズバッド洞窟で2番目に大きい部屋で、鍾乳管が多い。
白い巨人の大広間: 大きな白い石筍がある。
王宮: 城のような二次生成物が特徴。
雲の湖: 洞窟の最深部に位置し、球形の二次生成物と湖がある。
レフト・ハンド・トンネル: 長い通路で、深い亀裂がある。
ミステリー・ルーム: ロウワー・ケイブにある小部屋。
ニュー・メキシコ・ルーム: 王妃の間の近くにある。
赤ちゃんの部屋: 王宮と王妃の間にある。
王妃の間: 洞窟内で最も美しい場所の一つ。
精霊の世界: ビッグ・ルームの天井にあり、白い石筍が多い。
タルカム通路: 床が石膏の粉で覆われている。
貧民窟: ロウワー・ケイブの大きな部屋の一つ。

近年の探検

カールズバッド洞窟は、現在も探検が続けられており、新しい発見が続いています。1980年代には、グアダルーペ・ルームやビフロスト・ルーム、チョコレート・ハイなどの部屋が発見されました。また、ヘリウム風船を使った探検方法も開発され、アクセスが困難だった精霊の世界への到達に成功しました。レチュギア・ケイブは1986年に発見された、現在も探検が続けられている洞窟です。底なし穴の底も最近の調査で軟泥で覆われていることが判明しました。科学的な研究も行われており、洞窟の形成過程や生態系、人間の活動が洞窟に与える影響などが調査されています。

世界遺産

カールズバッド洞窟群は、その卓越した自然美と地質学的な価値が認められ、以下の基準を満たして世界遺産に登録されました。

(7) ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
* (8) 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。

カールズバッド洞窟群国立公園は、その壮大な景観と、ユニークな生態系、そして豊かな歴史を持つ場所として、多くの人々に愛されています。

もう一度検索