石筍

石筍（せきじゅん、英: stalagmite）は、洞窟の床面に見られる、たけのこ状の洞窟生成物です。天井から滴り落ちる水滴に含まれる物質が、時間をかけて床に蓄積することで形成されます。この石筍と対をなすのが、天井から垂れ下がる鍾乳石です。広義には、石筍、石柱などを含む洞窟生成物の総称として鍾乳石という言葉が使われることもあります。

石筍の形成

一般的な石筍は、石灰洞の中で二次的に生成されます。地下水に溶け込んだ炭酸カルシウムが、特定のpH条件下で沈殿し、結晶化することで成長します。この反応は以下の化学式で表されます。


Ca(HCO3)2(aq) → CaCO3(s) + H2O(l) + CO2(aq)


石灰岩が二酸化炭素を含む水に溶解し、炭酸水素カルシウム水溶液となることが、石筍の形成の始まりです。石筍は、その形状を表す言葉であり、岩石の種類としては結晶質の石灰岩です。天井からの鍾乳石と床面の石筍が結合すると、石柱が形成されます。

石筍への配慮

石筍は、むやみに触れるべきではありません。人間の皮脂が付着すると、鉱水が流れる際の表面張力が変化し、成長に影響を与える可能性があります。油分や汚れは、石筍に染み込み、色を恒久的に変えてしまう恐れもあります。

コンクリート石筍

石筍は、コンクリート構造物の床面にも生成されることがあります。このコンクリート石筍は、自然の洞窟で形成されるものよりもはるかに速い速度で成長します。

記録

世界最大の石筍は、ベトナムのソンドン洞にあり、その高さは70mを超えます。イランのシャープール洞窟には、高さ約7mの石筍から作られた巨大な像があります。この像は、3世紀のサーサーン朝の君主シャープール1世の像です。

溶岩石筍

溶岩洞内で形成される石筍を、溶岩石筍と呼びます。溶岩石筍の形成メカニズムは、石灰石の石筍と似ていますが、その速度は非常に速く、数時間から数週間で形成されます。溶岩の流動が止まると、成長も止まるため、一度破壊された溶岩石筍は二度と再生しません。溶岩石筍は、対となる溶岩鍾乳よりも珍しい存在です。

氷筍

氷筍は、多くの洞窟内で季節的に、あるいは一年を通して見られます。その形成過程は、石筍とよく似ています。

フォトギャラリー

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脚注

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関連項目

洞窟生成物
二次生成物
鍾乳洞
方解石
カルスト地形

外部リンク

The Virtual Cave's page on stalagmites

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