カールティク (俳優)

カールティク：タミル映画界のスターと政治家の顔

1960年6月13日、インドのウダカマンダラムに生まれたカールティク（本名：ムラリ・カールティケーヤン・ムトゥラーマン）は、タミル語映画界を代表する俳優の一人である。80～90年代に数々のヒット作に出演し、幅広い演技力で高い評価を得た彼の生涯とキャリア、そして政治活動について見ていこう。

華々しいキャリアの始まりと成功

1981年、バーラティラージャ監督作品『Alaigal Oivathillai』で俳優デビューを果たすと、すぐに才能を開花させる。同年、テルグ語映画『Seethakoka Chilaka』にも出演。初期はR・V・ウダヤクマー監督作品や、コメディ俳優ガウンダマニとの共演作で経験を積み、低予算映画にも出演するも、大きな成功には至らなかった。転機となったのは1984年の『Nallavanukku Nallavan』。ラジニカーントと対立する役柄で高い人気を獲得、女優ラーダーとの共演も話題となった。その後も『Anveshana』(1985年)、マニラトナム監督の『沈黙の旋律』(1986年カメオ出演)など話題作に出演し、着実に地位を築いていく。80年代後半には主要キャストとして活躍、『Vanna Kanavugal』(1987年)の大ヒット、そして『Abhinandana』(1988年)でナンディ賞審査員特別賞を受賞するなど、順風満帆な時代を迎える。

90年代：絶頂期と新たな挑戦

90年代に入ると、『Idhaya Thamarai』『Kizhakku Vaasal』『Gopura Vasalile』などの作品で成功を収め、1992年の『Amaran』では孤児から裏社会のドンへと成り上がる主人公を熱演。興行収入は期待を下回ったものの、劇中歌「Vethala Potta」が話題を呼び、彼の歌手としての才能も開花した。同年、バーラティラージャ監督作『Nadodi Thendral』にも出演。1993年の『Ponnumani』ではフィルムフェア賞タミル語映画部門主演男優賞を受賞するなど、絶頂期を迎える。さらに『Rayudu』『Marumagan』『Chakravarthy』『Nandhavana Theru』『Thotta Chinungi』といった作品に出演し、名実ともにタミル映画界のスターの座を確固たるものとした。

1996年には『Kizhakku Mugam』に出演し、同年にガウンダマニ、ランバーとの共演作『Ullathai Allitha』は大ヒットを記録。この成功を受け、監督のスンダル・Cの次回作『Mettukudi』にも主演。続く『Gokulathil Seethai』では演技が批評家から絶賛された。その後も、『あなた様のお傍に』『Harichandra』『Pooveli』などヒット作に次々と出演し、1998年には『あなた様のお傍に』『Pooveli』でタミル・ナードゥ州映画賞特別賞を受賞するなど、輝かしいキャリアを歩み続ける。

2000年代以降：苦境と復活

2000年代に入ると、若手俳優の台頭により出演機会は減少。小規模映画への出演や資金不足による製作延期といった苦境にも直面する。この時代には、『Thai Poranthachu』『Sandhitha Velai』『Kannan Varuvaan』などに出演するも、制作中止となる作品も少なくなかった。2002年には『Devan』『Game』に出演するものの、ヴィンセント・セルヴァ監督作品への出演契約を破棄したことで、ナディガル・サンガム（俳優組合）から法的措置を受けるなど、数々のトラブルに見舞われる。

しかし、2010年、映画界に復帰。『Maanja Velu』『Raavanan』などに出演し、好意的な評価を得る。その後も『Puli Vesham』『Om 3D』などに出演するものの、興行成績は振るわなかった。2015年にはダヌシュと共演した『Anegan』、2018年にはスーリヤと共演した『Thaanaa Serndha Koottam』に出演するなど、第一線で活躍し続ける俳優としての地位を保ち続けている。また、息子であるガウタム・カールティク、カールティとの共演作も話題となった。

政治への関与

俳優活動と並行して、カールティクは政治活動にも積極的に関与してきた。2006年のタミル・ナードゥ州議会議員選挙に出馬表明、2009年のインド総選挙では新政党を結成して出馬するも落選。2011年の州議会議員選挙ではAIADMKからの出馬を模索するも失敗し、独自の道を選択。AIADMKとの連携を深め、2019年と2021年の選挙では同党の選挙キャンペーンに参加するなど、精力的に活動している。

結論

カールティクは、数々の賞を受賞した演技力とスター性でタミル映画界に大きな足跡を残した俳優であると同時に、政治家としても活動する多様な顔を持つ人物である。彼の波乱に満ちた生涯は、今後も多くの人々に語り継がれるだろう。

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