ラジニカーント

ラジニカーント：インド映画界の生きる伝説

ラジニカーント（1950年12月12日 - ）は、インド、特にタミル語映画界において圧倒的な人気を誇る俳優、映画プロデューサー、脚本家です。数々の賞を受賞し、インド政府からはパドマ・ブーシャン勲章とパドマ・ヴィブーシャン勲章を授与されています。1995年の映画『バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス』の大ヒット以降、タミル・ナードゥ州では「神のような」存在として崇められています。

生い立ちと初期のキャリア

バンガロールのマラーター家庭に生まれたラジニカーントは、幼少期をマラーティー語とカンナダ語を話す環境で過ごしました。警察官の父と主婦の母、兄2人と姉1人の4人兄弟の末っ子として育ち、9歳で母を亡くしました。経済的な苦労から、バスの車掌として働く傍ら、演劇活動に携わります。その才能はカンナダ語劇作家トピ・ムニアッパに見出され、MGR公立映画テレビ訓練研究所で演技を学ぶ機会を得ました。

1975年、K・バーラチャンダル監督の『世にも奇妙なラーガ』で俳優デビューを果たします。その後、数多くのタミル語映画、テルグ語映画、カンナダ語映画、マラヤーラム語映画に出演し、悪役から主人公まで幅広い役柄を演じ分け、着実にキャリアを積んでいきました。70年代後半には、M・バースカル監督の『Bairavi』で初めて単独の主人公を演じ、「スーパースター」の称号を得ます。

キャリアの飛躍と多様な活動

80年代に入ると、ラジニカーントはアミターブ・バッチャンの主演作をリメイクしたタミル語映画にも出演するようになり、その人気は南インド全域に広がっていきました。一人二役、一人三役といった挑戦的な演技にも取り組み、観客を魅了し続けました。この時期にはボリウッド映画『Andha Kanoon』にも出演し、インド映画界全体における存在感を示します。さらに、ハリウッド映画『インディアナ・アドベンチャー/ブラッドストーンの謎』にも出演し、国際的な舞台へ進出しました。

90年代には、記録的な大ヒットとなった『バーシャ! 踊る夕陽のビッグボス』や、日本で大ヒットした『ムトゥ 踊るマハラジャ』など、数々のヒット作に主演しました。これらの作品を通じて、ラジニカーントは単なるスター俳優を超え、大衆にとって崇拝の対象となる存在へと変わっていきます。

政治への関与と社会活動

ラジニカーントは政治活動にも関与し、1996年のタミル・ナードゥ州議会選挙では、ドラーヴィダ進歩党（DMK）とタミル州国民会議（TMC）の政党連合を公然と支持しました。その後、2017年には新党結成を発表し、政界進出を表明しましたが、2020年にはそれを撤回しています。

社会問題にも積極的に関与し、カーヴィリ川の水問題に関するハンガーストライキや、映画業界の社会問題への発言を通じて、社会に影響を与え続けています。また、慈善活動にも積極的に取り組んでおり、角膜移植キャンペーンやアンナ・ハザレの腐敗撲滅運動への支援など、その活動は多岐に渡ります。

俳優としての評価と私生活

ラジニカーントは、独自の対話スタイルと個性的な演技、そしてカリスマ性で、インド映画史に名を刻むスター俳優として認識されています。後期中等教育中央審議会のシラバスに取り上げられるほど、その影響力は絶大です。

私生活では、1981年にラター・ランガチャーリーと結婚し、2人の娘をもうけています。信仰心の厚いヒンドゥー教徒であり、ヨーガや瞑想を実践していることでも知られています。

まとめ

ラジニカーントは、インド映画界のアイコンであり、タミル・ナードゥ州の人々から深い敬愛を集める存在です。俳優としての圧倒的な人気、政治活動への関与、社会貢献、そして彼の人生哲学は、多くの人々に影響を与え続けています。彼の生涯は、インド映画史のみならず、インド社会の歴史においても重要な一頁を刻んでいると言えるでしょう。

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