カールハインツ・ベーム

カールハインツ・ベーム：映画と慈善に捧げた生涯

カールハインツ・ベーム（1928年3月16日 - 2014年5月29日）は、ドイツのヘッセン州ダルムシュタットで生まれたオーストリアの俳優です。彼は、名指揮者カール・ベームの息子として生まれ、その才能を受け継ぎ、映画界で国際的な名声を博しました。

生い立ちとキャリア

当初、ベームは映画監督を目指し、カール・ハートル監督に師事しましたが、その後俳優へと転向しました。旧西ドイツ映画を皮切りに、ハリウッド、フランス、イギリスなど、様々な国の映画やテレビドラマに出演し、国際的な俳優としての地位を確立しました。

特に、1950年代の『プリンセス・シシー』三部作（1955年～1957年）では、ロミー・シュナイダー演じるシシー（エリザベート）の夫、フランツ・ヨーゼフ1世役を演じ、映画の大ヒットとともに一躍スターダムにのし上がりました。この作品は、現在でもドイツでDVD化され、根強い人気を誇っています。

その後も、ベームは様々な役柄に挑戦し、その演技力の幅広さを示しました。1959年の『未完成交響楽』では、報われない恋に苦悩する作曲家シューベルトを演じ、1960年の『血を吸うカメラ』では、幼少期の父親による心理実験の犠牲者となった青年を演じました。1961年の『ベートーヴェン/気骨の楽聖』では、ベートーヴェン役を、1962年の『不思議な世界の物語』では、グリム兄弟の兄ヤーコプ役を演じるなど、多彩な役柄を演じ分けました。興味深いことに、シューベルトとベートーヴェンは、父カール・ベームが指揮者として得意としたレパートリーでもありました。

また、ベームは父親が指揮したプロコフィエフ作曲の「ピーターと狼」（ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団）で、ドイツ語と英語のナレーターを務めました。ドイツ語のテキストは、クラウス・グロイナーによって自由に脚色されたものです。

1963年には、ジャック・ドレー監督の『Du rififi à Tokyo』（日本未公開）に出演し、岸惠子、E・H・エリック（岡田英次）らと共演しました。この映画の撮影のために来日し、東京都内（御茶ノ水、歌舞伎町、銀座、第一生命ビル、新宿コマ劇場など）や三浦半島でロケーション撮影が行われました。

1970年代に入ると、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督作品に複数出演し、新たな境地を開きました。

アフリカ救済活動への貢献

1981年、ベームは「Menschen für Menschen」（人から人へ）という団体を設立し、アフリカの救済活動に積極的に取り組みました。彼は、エチオピアなどの貧困に苦しむ人々を支援するため、精力的に活動し、その人道的な貢献は高く評価されています。

家族と晩年

娘のカタリナ・ベームも女優として活躍しています。2001年には、ドイツ連邦共和国功労勲章を受章（大功労十字星章）。2008年には、第58回ベルリン国際映画祭で特別功労賞（ベルリナーレ・カメラ賞）を受賞しました。2014年、ザルツブルク近郊のグレーディヒにて永眠しました。

カールハインツ・ベームは、映画俳優として国際的な名声を博するとともに、人道的な活動にも尽力した人物として、多くの人々に記憶されています。

主な出演作品

妖花アラウネ (1952)
プリンセス・シシー (1955)
若き皇后シシー (1956)
ニーナ (1956)
シシー　ある皇后の運命の歳月 (1957)
地獄の罠 (1959)
未完成交響楽 (1959)
血を吸うカメラ (1960)
黙示録の四騎士 (1961)
ベートーヴェン/気骨の楽聖 (1961)
不思議な世界の物語 (1962)
翼のリズム (1963)
コンバット! (1963)
バージニアン (1963)
バークにまかせろ (1963)
ベネチア事件 (1966)
自由の代償 (1975)

外部リンク

プリンセス・シシー』3部作記念公式サイト'>映画『プリンセス・シシー』3部作記念公式サイト（ドイツ語）
日本語版ウィーン市観光局公式サイト - 「宮廷家具調度品博物館」の案内で映画『プリンセス・シシー』の事が紹介されている。
IMDb'>カールハインツ・ベーム - IMDb（英語）

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