バージニアン

西部劇の金字塔『バージニアン』：90分カラー放送の先駆けと、長く愛された物語

『バージニアン』（原題：The Virginian、最終シリーズのみ The Men from Shiloh）は、1962年から1971年まで米NBCで放送された西部劇ドラマです。西部劇において画期的な試みとして、90分番組という長尺かつ、第1話からカラーで放送された最初の番組として知られています。全249話という長寿番組であり、アメリカにおける西部劇ドラマの歴史において『ガンスモーク』、『ボナンザ』に次ぐ、第3位の放送回数を誇ります。

主演はジェームス・ドルーリーとダグ・マクルーア。ジェームス・ドルーリーが演じる主人公は、リーダー格のカウボーイ「バージニアン」として知られ、その本名は物語を通して明かされることはありませんでした。舞台はワイオミング州メディシンボウのシャイロー牧場。この牧場名は、南北戦争中の1862年にテネシー州で起こったシャイローの戦いに由来しています。

主要登場人物として、牧場主であるガース判事、彼の娘ベッツィー、そして誠実なカウボーイのトランパス（ダグ・マクルーア）が挙げられます。特にトランパスは、シリーズを通して活躍し、ダグ・マクルーア自身もこの役柄を通じて広く知られるようになりました。

2シーズン目からは、ギターを弾き、ベッツィーとフォークやカントリーソングをデュエットする若手カウボーイ、ランディ・ベントンが登場。彼らの歌は1965年にレコード化もされました。番組のテーマソング「ロンサム・ツリー」は、パーシー・フェイス作曲、スタンリー・ウィルソン指揮によるものです。

物語は、登場人物の入れ替わりや牧場主の交代など、時間とともに変化を遂げます。ガース判事の後にはモーガン・スター、そしてジョン・グレンジャー、クレイ・グレンジャーとその家族といった新たな登場人物が加わります。最終シーズンでは、牧場がマッケンジー大佐のものとなり、タイトルも『The Men from Shiloh』に変更。オープニングテーマはエンニオ・モリコーネが担当し、マカロニ・ウェスタン風の雰囲気に一新されました。この変化は視聴率にも影響を与え、一時低迷したものの、最終的には回復しました。

ハリソン・フォードやロバート・レッドフォードといった著名な俳優もゲスト出演しており、番組の人気の高さが伺えます。また、1972年に公開された映画『大砂塵の男』は、『バージニアン』のエピソードを編集した作品とも言われています。

キャストはジェームス・ドルーリーとダグ・マクルーアのみが全シリーズに出演。他の主要キャストは、リー・J・コッブ（ガース判事）、ロバータ・ショア（ベッツィー）、ゲイリー・クラーク（スティーブ・ヒル）など、多くの個性豊かな俳優陣が物語を彩りました。

番組終了後も、主演のジェームス・ドルーリーは番組の保存に尽力し、様々なイベントや番組を通じてPR活動を続けてきました。現在では、Timeless Media Group、Acorn Media UK、ユーロ・ビデオ・オブ・ジャーマニーなどからDVDが発売されています。

『バージニアン』は、90分カラー放送という画期的な試み、長寿番組としての歴史、魅力的な登場人物、そして時代を超えて愛される物語によって、西部劇史上に燦然と輝く作品です。

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