カール・ツンベルク

カール・ペーテル・ツンベルクについて

カール・ペーテル・ツンベルク（Carl Peter Thunberg）は、1743年11月11日にスウェーデンのヨンショーピングで生まれ、1828年8月8日に逝去した著名な植物学者及び博物学者です。彼は、スウェーデンの有名な植物学者カール・フォン・リンネに学び、植物分類学において重要な貢献をしました。ツンベルクはまた、江戸時代の日本の鎖国期に出島で1年間にわたって滞在し、この期間中に日本の植物学や蘭学の発展に寄与したことで広く知られています。

名前の表記と発音

ツンベルクの名前は日本語において様々な表記が存在し、例えば「ツンベルク」「ツンベリー」「ツンベリ」など、多岐にわたります。スウェーデン語の発音に最も近いのは「トゥーンベリ」です。また、名前の中の「h」は当時の発音において一般的には無視されています。

生涯と業績

ツンベルクはウプサラ大学で植物学と医学を学ぶ中、リンネの弟子としてその後のキャリアを築く準備を整えました。その後、フランスに留学し、1771年にはオランダ東インド会社に入社。リンネの指名により、動植物の調査のために派遣されたとされています。まず彼はケープ植民地に赴き、現地でオランダ語を学びながら、喜望峰周辺の探検を行いました。そして得られた成果の一つが、地域特有の植物をまとめた『喜望峰植物誌』です。

1775年にはオランダ商館付医師として出島に赴任しました。出島では、初めはその外に出ることが許可されなかったため、持ち込まれた飼料から植物や昆虫を採取して研究を続けました。また、診療所では梅毒の治療に昇汞を用いた水銀療法を行い、顕著な治療効果を上げて多くの患者を診察しました。この療法は、長崎の医師にも広まりました。

1776年には商館長とともに江戸に向かい、徳川家治に謁見しました。この旅は、ツンベルクにとって日本文化や生物を調査する貴重な機会となり、道中で多くの植物標本を収集しました。江戸滞在中は、桂川甫周や中川淳庵といった蘭学者との接点を持ち、彼らに専門的な知識を伝えました。帰途には大坂の植木屋で数多くの植物を手に入れましたが、その年内に日本を去り、バタヴィアに戻りました。

1788年には王立協会のフェローに選出され、1779年に故国スウェーデンに帰国。ウプサラ大学の植物学教授を経て、1781年には学長に就任しました。彼の教育を受けた学生の中には、後に著名な博物学者となるキリル・ラクスマンなどがいます。彼は日本で収集した植物の標本800種以上を母校のウプサラ大学に保存しています。

著作と献名

ツンベルクは多くの著作を残し、代表作として『日本植物誌』や『喜望峰植物誌』などがあります。彼の業績は分類学における新種発見に留まらず、学名の二名法が確立した初期にも多くの新種を発見しました。そのため、彼の名前にちなんで名付けられた動植物も多く存在し、日本の植物にも献名されているものがあります。特に、ツンベルクマルガタクワガタやナガサキアゲハなどがその例です。

ツンベルクの生涯と業績は、彼の植物学的探求と日本文化の理解に大きな影響を与え、後世に多くの足跡を残しました。

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