カール・マルデン

カール・マルデン：ハリウッドのレジェンド

カール・マルデン（1912年3月22日 - 2009年7月1日）は、アメリカ合衆国を代表する俳優の一人です。イリノイ州シカゴにセルビア系とチェコ系の両親のもとに生まれ、幼少期はインディアナ州ゲーリーで過ごしました。5歳まで英語を話せなかった彼の人生は、その後、演劇への情熱と並外れた才能によって大きく彩られていくことになります。

ゲーリーのエマーソン高校卒業後、製鉄所で働きながら、アーカンソー州立教育大学やシカゴのグッドマン劇場演劇学校で研鑽を積みました。1937年、ニューヨークで舞台デビューを果たすと、才能を見抜いたエリア・カザン監督によって、アーサー・ミラーやテネシー・ウィリアムズの舞台作品に出演する機会を得ます。マルデンの演技力は、舞台で確かな地位を築き、彼の輝かしいキャリアの礎となりました。

1940年の映画デビュー後、彼は着実にキャリアを重ね、1951年には映画『欲望という名の電車』でアカデミー助演男優賞を受賞。この受賞は、彼の演技力を世界に知らしめる大きな転機となりました。その後も数々の映画作品に出演し、幅広い役柄をこなす彼の演技力は高く評価されました。なかでも、1955年の『波止場』での演技は、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるなど、絶賛を浴びました。

映画界での活躍に加え、マルデンは1968年から1989年まで、アメリカン・エキスプレスのCMキャラクターを務め、その親しみやすいキャラクターで広く大衆に知られる存在となりました。CMでの彼の姿は、世代を超えて多くの人々の記憶に刻まれています。

1989年から1992年までは、映画芸術科学アカデミーの会長を務め、映画界の発展に大きく貢献しました。2003年には、第75回アカデミー賞授賞式に過去の受賞者として出席し、その存在感は衰えることなく、ハリウッドのレジェンドとしての地位を不動のものとしました。

マルデンの71年に及ぶ結婚生活は、ハリウッドの歴史の中でも3番目に長いとされ、その私生活の安定も、彼の豊かな才能とキャリアを支えた要因の一つと言えるでしょう。2009年、老衰のため97歳で生涯を閉じました。

彼の出演作品には『欲望という名の電車』『波止場』『ベビイ・ドール』『ジプシー』『The Streets of San Francisco』など、数多くの名作が挙げられ、日本の吹き替えでは島宇志夫氏がほぼ専属で担当するなど、日本でも広く親しまれてきました。

カール・マルデンは、類まれな演技力と、長年にわたる活躍によって、ハリウッド黄金時代を代表する名優として、映画史にその名を刻み込みました。彼の残した作品と功績は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。アカデミー賞受賞の栄光、アメリカン・エキスプレスのCMでの親しみやすさ、そして70年以上にわたる輝かしいキャリア。これらのすべてが、カール・マルデンという偉大な俳優の生涯を物語っています。

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