カール・ヨーゼフ・バッチャーニ

カール・ヨーゼフ・バッチャーニ伯爵：ハプスブルク帝国を支えた将軍

カール・ヨーゼフ・バッチャーニ（1697年4月28日 - 1772年4月15日）は、オーストリア（ハプスブルク帝国）の軍人であり、元帥です。現在のブルゲンラント州、当時はハンガリー王国領であったレヒニッツの出身です。彼は数々の戦いで重要な役割を果たし、その軍事的な才能と功績により、伯爵から侯爵へと地位を高めました。

生い立ちと初期の軍歴

1697年、カール・ヨーゼフ・バッチャーニは、ハンガリーの伯爵アダム2世・バッチャーニ・フォン・ネーメトゥーイヴァールの息子としてレヒニッツ城で生まれました。父の死後、彼は母エレオノーレ・バッチャーニ＝シュトラットマンの後見のもとで成長しました。早くからオーストリア軍に入隊し、対オスマン戦争においてプリンツ・オイゲンの下でペーターヴァルダインの戦い、ティミショアラの戦い、ベオグラードの戦いに参加し、その名を上げました。

ポーランド継承戦争と外交官時代

1734年、バッチャーニはポーランド継承戦争で将校として皇帝軍を指揮し、ライン川沿いでフランス軍と対峙しました。1737年のオーストリア・ロシア・トルコ戦争でも皇帝軍を指揮しています。1739年から1740年までプロイセン王国のベルリン宮廷でオーストリア大使を務め、外交官としても活動しましたが、プロイセンとの第一次シュレージエン戦争の勃発後、再び軍務に戻り、その才能を発揮しました。

オーストリア継承戦争での活躍

オーストリア継承戦争においても、バッチャーニは重要な役割を果たしました。1744年には軍団司令官として独立した指揮権を与えられ、1745年4月15日にはプファッフェンホーフェンの戦いでセギュール将軍率いるプファルツ・フランス連合軍に大勝し、レヒ川まで追い詰めました。この軍功により、バッチャーニは元帥に昇進し、アーレンベルク元帥の後任として国事軍の最高司令官に任命されました。彼はシュペースアルトを通過してトラウン元帥の部隊と合流し、フランス軍をライン川の向こう側へ退却させることに成功しました。

その後の軍歴と晩年

1746年、バッチャーニは南ネーデルラント（現在のベルギー）でカール・フォン・ロートリンゲンの指揮下に入り、ロクールの戦いに参加しました。1747年にはカンバーランド公の指揮下に入り、ラウフフェルトの戦いで模範的な退却を見せました。

戦争終結後、マリア・テレジアはバッチャーニを皇嗣ヨーゼフ大公（後のヨーゼフ2世）の教育係に任命し、その後、大公の宮廷侍従長となりました。1763年にはボヘミアの侯爵位を授爵され、その1年後には帝国侯爵位も授与されています。また、1749年12月1日には金羊毛騎士団に入団しています。

バッチャーニはウィーンで晩年を過ごし、1772年に生涯を閉じました。彼の軍事および外交における貢献は、ハプスブルク帝国の歴史に深く刻まれています。

まとめ

カール・ヨーゼフ・バッチャーニは、軍人、外交官、教育者として多岐にわたる才能を発揮し、ハプスブルク帝国の発展に大きく貢献しました。彼の生涯は、激動の18世紀ヨーロッパにおける帝国の興隆と、それに尽力した人々の姿を今に伝えています。

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