カール・レムリ

カール・レムリ：映画業界の先駆者

カール・レムリ（1867年1月17日 - 1939年9月24日）は、アメリカの映画製作者であり、ユニバーサル映画の創設者として名を馳せた。レムリは、生涯で400本以上の映画制作に関与し、映画産業の発展に大きく寄与した。

生い立ちと移住

レムリはドイツのウルム近郊ラウプハイムで生まれ、ユダヤ系の家庭で育った。1884年に兄を追いかけてアメリカに移住し、シカゴに定住。そこでレチャ・スターンと結婚し、息子カール・レムリ・Jrを授かった。1889年にアメリカ市民権を取得したのち、さまざまな職業に従事し、特に簿記のスキルを活かしてビジネスに関与していった。

映画業界への道

1906年、レムリは映画興行の可能性に気づき、シカゴでニッケルオデオンを見学して興行業を開始。映画配給の独占を企んでいたエジソンに対抗するため、俳優や映画のプロモーションにも力を注ぎ、その結果、業界内での地位を確立していく。
その後、1894年にはウィスコンシン州の衣料会社を辞め、映画製作会社を設立し、1909年にはレムリ・フィルム・サービスを設立する。これが後のユニバーサル映画の礎となる。

ユニバーサル映画の創設

1912年、レムリは8社との合併によりユニバーサル・フィルム・マニュファクチュアリング・カンパニーを設立。新たに映画スタジオをフォートリーに設け、その後カリフォルニア州サンフェルナンド・バレーにてユニバーサル・シティを開設する。これが世界的な映画制作拠点へと発展していく。
また、レムリの治世下においては、アーヴィング・タルバーグやハリー・コーンなどの才能ある映画製作の人材が集まり、数多くの名作を生み出す土台が築かれた。

映画プロデューサーとしての成功

レムリは数多くの人気映画を製作し、『ノートルダムのせむし男』や『オペラの怪人』、さらには『笑ふ男』などの作品がその代表例である。特に彼の息子、カール・レムリ・Jrが社長職を継承した後も、ユニバーサル映画はホラー映画を巡る成功を重ねた。しかし、1930年代の世界恐慌によって企業は厳しい状況に直面し、最終的にはレムリ父子は株主たちの不満によりユニバーサルから追放されることとなった。

晩年とレガシー

映画界から退いた後も、レムリは故郷ラウプハイムへの財政支援を行い、ナチス・ドイツからの移民を助ける活動を行っていた。数百人のユダヤ人をホロコーストから救うため、入国手数料を肩代わりするなど、多大な人道的貢献を果たしている。
自らの終焉を迎えるまで、アメリカにおけるユダヤ人の受け入れを推進し続けた。1939年9月24日、心血管疾患によりビバリーヒルズで逝去。彼の遺体はシカゴの墓地に埋葬された。

カール・レムリの業績は、映画業界の発展に寄与しただけでなく、自らの故郷や移民の人々に対しても大きな影響を与えた。彼の生涯は、映画と人道主義の両面で奇跡的な変遷を遂げた物語であると言える。

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