カール11世 (スウェーデン王)

スウェーデン王カール11世の生涯と治世

生い立ちと即位

カール11世（Karl XI）は、1655年11月24日にストックホルム宮殿で誕生しました。彼の父はスウェーデン王カール10世で、母はホルシュタイン＝ゴットルプ公女ヘートヴィヒ・エレオノーラです。父の死により、カールは4歳で王位に就くこととなりましたが、その年齢から摂政による統治が行われました。

教育と成長

カール11世は摂政団によって教育されましたが、17歳で成人を迎えた時点では国政に関する知識が十分ではなく、基本的な読み書きさえも困難でした。一方で、彼はスポーツに励んで体を鍛えたり、熊狩りを趣味として度胸を養ったりしました。性格は正直で高潔との評判を得ていました。

戦争と親政

17歳での成人を経て、カール11世は親政を開始します。1675年からのスウェーデン・ブランデンブルク戦争やスコーネ戦争の期間において、彼は積極的に戦地に赴きました。1676年のハルムスタッドの戦いではデンマーク軍を撃退し、同年12月のルンドの戦いでも勝利を収めましたが、戦争は大きな犠牲を伴い、スウェーデンの影響力を損なう結果となります。

これらの戦争は、スウェーデンへの厳しい圧力をもたらし、国政に対する不満から彼の絶対王政を受け入れる動きが強まりました。特に、外交政策においてフランスとの同盟によって引き起こされたトラブルから、彼は関係修復に向けて努力することになります。1680年にはデンマーク王女ウルリカ・エレオノーラと結婚し、和平を確立しました。

絶対君主制と改革

1682年、カール11世は元老院の支持を基にして主権を国王に集中させる改革を実施し、スウェーデンを絶対君主制へと変革させました。この過程には彼の信任する寵臣ユーハン・ユレンシェーナが重要な役割を果たしましたが、同年中にユレンシェーナが亡くなるという不運も重なりました。それにもかかわらず、議会にて貴族の権威を削ぐための措置が取られ、王領地が広がることで財政も改善されました。

1682年の土地還元政策により、カール11世は貴族の大土地を没収し、全体の3割以上を王領地として国の所有にしました。これによって国の収入が増加し、常備軍の編成が可能となり、国力を強化することに成功しました。

死亡とその影響

カール11世は1697年4月5日に亡くなり、若きカール12世が王位を継承しました。彼の死はスウェーデンにとって一つの大きな転機となり、続く戦乱の時代の幕開けを意味しました。ディプロマシーにおいて「ヨーロッパの戦争に関与すべきではない」という遺言が残されたものの、彼の死後周辺国はそれを無視することとなり、スウェーデンは新たな危機に直面することになりました。

文化財保護と影響

カール11世の治世下、彼は文化財保護にも力を注ぎました。1666年には「我が祖先の名誉を高める記念物」を保護するための布告が出され、これは国家が文化財保護に乗り出した最初の例とされています。

子女

カール11世はデンマーク王女ウルリカ・エレオノーラとの間に七人の子を儲けましたが、そのうち四人が幼くして亡くなりました。成人したのはヘドヴィグ・ソフィア、カール12世、ウルリカ・エレオノーラの三人でした。彼らはそれぞれ異なる王国と結婚し、スウェーデンと他国との連携を深める役割を担いました。

カール11世はその後のスウェーデンの歴史に多大な影響を及ぼし、王座を続く次世代につないでいくこととなります。

もう一度検索