ガザの戦い (紀元前312年)

ガザの戦い

紀元前312年、シリアのガザにてディアドコイ戦争の重要な戦闘が展開されました。この戦いでエジプトの支配者プトレマイオスがデメトリオスを破ったことで、戦争の流れが大きく変わることになりました。

背景

アレクサンドロス大王の死後、彼の部下たちによる権力争い（ディアドコイ戦争）が始まりました。その中で、アンティゴノスは急速に勢力を拡大し、周囲の武将たちが彼を脅威と感じるようになりました。紀元前315年、バビロニアの太守セレウコスがアンティゴノスとの同盟を破棄し、エジプトのプトレマイオスの元へ逃れます。これにより、彼らは共同してアンティゴノスに対抗する大同盟を形成し、様々な方面から攻撃を再開しました。プトレマイオスは紀元前312年に歩兵18000人、騎兵4000人を率いて侵攻を開始します。

この侵攻には、特にアンティゴノスの行動が影響しています。彼がカッパドキア太守エウメネスに対しての勝利で得た領土を、他のディアドコイに分配しなかったため、他の武将たちの不満が募っていたのです。デメトリオスが戦場に出向くことになり、彼は当時わずか22歳で、そんな大規模な戦いを統率するのは困難でした。

両軍の布陣

ガザの戦いにおいて、デメトリオスの軍は右翼に騎兵1500人を配置し、中央に歩兵11000人、左翼にはデメトリオス自身が2900人の騎兵と戦象30頭をフィールドに配しました。彼の作戦は、敵の右翼をまず捉え、そこから中央を包囲するという鉄床戦術でした。

一方、プトレマイオスは左翼を強化しつつも、デメトリオスの配置を見極めて右翼に騎兵3000人を置き、プトレマイオス自身が指揮を取る布陣を組みました。また、投石兵や弓兵を配置し、平坦な戦場で戦象に対抗する準備を整えていました。

戦闘の経過

会戦はプトレマイオス軍の攻撃で始まり、デメトリオス軍は右翼騎兵が勇敢に応戦しますが、徐々にその勢いが失われていきました。騎兵戦が膠着すると、デメトリオスは戦象部隊を投入しますが、プトレマイオス軍は巧みに防御を固め、これを食い止めます。デメトリオスの前線が崩れ始めると、彼は必死に戦況を立て直そうとするも、兵士たちの士気は低下してしまいました。

プトレマイオスはこの混乱をついて反撃を開始し、デメトリオス軍は次々と崩れ、デメトリオスはアゾトスへと退却します。この戦いで、デメトリオス軍は約500人の戦死者を出し、8000人は捕虜となりました。デメトリオスの将軍ペイトンも戦死しています。

戦後の展開

プトレマイオスは捕虜を名誉や支配のために戦うという理念に基づいて返還しました。その後、続々とシリアの都市を制圧し進撃を続けるプトレマイオスでしたが、デメトリオスは父アンティゴノスに援軍を要請しました。アンティゴノスがシリアに介入し、プトレマイオスを追い返すと、セレウコスが東方に戻りバビロニアを奪回することとなりました。

この戦いの敗北により、アンティゴノスの戦略は狂い始めますが、彼は依然としてディアドコイ中で最有力の勢力であり、以後も長年にわたって戦闘を続けることとなります。

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