ガブリエル・ノーデ

ガブリエル・ノーデについて

ガブリエル・ノーデ（Gabriel Naudé、1600年2月2日 - 1653年7月10日）は、近世フランスの司書として著名であり、その業績から近代図書館学の先駆者と見なされています。彼はマザラン図書館の初代司書として、多くの人々に影響を与えた格別な存在です。特に彼の著書『図書館創設のための提言』（Advis pour dresser une bibliothèque）は、図書館の利用と資源管理に関する理論を確立したことで広く知られています。

生涯の概要

ノーデはパリのサン・メリ教区で生まれ、経済的に恵まれた家庭ではなくとも、学びを重んじる教育環境で育ちました。成績は優秀で、ルモワーヌ枢機卿のコレージュ・ド・ナヴァールで修辞学を学び、さらにパリ大学の医学部に進学しました。父親は聖職者になることを望んでいましたが、ノーデは自らの知識を生かす職業として医師を選ぶ決意をしました。

大学では人文学者ルネ・モローやモラリストのピエール・シャロンから大きな影響を受け、大学在学中に得た知識を役立てる活動を始めることになります。特に20歳の時、パリ高等法院の院長によるメンミアーナ図書館の責任者に就任したことが、彼の図書館人生において重要な転機となります。この経験は後の著書『図書館創設のための提言』執筆につながります。

外国への留学と図書館への関与

1626年、ノーデは許可を受けてイタリアのパドヴァ大学に留学し医学を研究しましたが、父の死去によって医学の道を断念し帰国しました。帰国後の1631年には、ジャック・ド・トウの図書館司書であるピエール・デュピュイと共にローマを訪れ、数々の私設図書館の管理を手伝いながら11年間を過ごします。

1642年、フランスに帰国したノーデはリシュリュー枢機卿に招かれ、しかし同年末にリシュリューが亡くなると、後任のマザラン枢機卿のもとでマザラン図書館の司書となります。ノーデは、この図書館の成長に大きく貢献し、通行人が直接アクセスできるような設計を考えました。

マザラン図書館の発展と困難

マザランはノーデに蔵書管理を全面的に任せ、多額の費用を図書館の拡充に投じました。その結果、ノーデは1642年から1651年の間にヨーロッパ中を巡り、4万冊以上の書籍を集めました。これにより、マザラン図書館はヨーロッパで最も大きな図書館の一つとなりました。

しかし、1648年に発生したフロンドの乱によってマザランは亡命を余儀なくされ、蔵書は競売にかけられてしまいます。ノーデは、これらの本を買い戻すことで散逸を防ぎ、数千冊の書籍を救ったとされています。

最後の年と遺産

1652年にはスウェーデンのクリスティーナ女王に招かれウプサラに渡りますが、折り合いが悪く再びフランスに帰国します。そして1653年、帰国の途上でアブヴィルで病に倒れ、アミアンで亡くなります。ノーデの享年は53歳でした。

著作と影響

彼の代表作である『図書館創設のための提言』は、図書館の設立における哲学や原則を明記しており、特に多様な資料収集の重要性を説いています。また、他にも「薔薇十字会の真実の歴史をフランス人に伝える書」や「魔術師の疑いをかけられた偉大な人物たちの擁護」といった著作も残されています。ノーデの思想は後の図書館学に多大な影響を与え、今日の図書館の運営についての基礎を築きました。彼の業績は、図書館の理念と実践において今なお引き継がれています。

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