ガムジグラード

ガムジグラードと皇帝ガレリウスの遺産：ロムリアーナ

セルビアのザイェチャル市に位置するガムジグラード村。この村の近郊には、古代ローマ皇帝ガレリウスがその生涯を終えた地、ロムリアーナ（フェリクス・ロムリアーナ）の城塞遺跡が眠っています。2007年、その歴史的・文化的価値が認められ、ユネスコの世界遺産に登録されました。

ロムリアーナの歴史

107年、トラヤヌス帝によって征服されたダキア地方は、ローマ属州ダキアとして組み込まれました。しかし、268年にはガリエヌス帝の治世下で失われます。その後、アウレリアヌス帝がレギオンをドナウ川岸に移し、「ダキア・リペンシス」（河岸のダキア）属州を創設し、この地を再編しました。

ロムリアーナの城塞は、この新しい属州の一部として建設されました。その名は、ガレリウス帝の母であるロムラに由来し、ロムリアーナ、またはフェリクス・ロムリアーナと呼ばれました。ローマ街道の交差点という地の利を生かし、城塞は属州の行政機能と、この地方で産出される黄金の管理を担いました。

ガレリウス帝は、ロムリアーナを特別な居所として愛し、その治世下で城塞は繁栄を極めました。彼は城壁を築き、壮麗な宮殿を建設しました。そして、その宮殿で生涯を終え、この地に埋葬されたのです。

ロムリアーナは、ビザンツ帝国時代にも重要な役割を果たしましたが、6世紀にアヴァール人によって破壊されました。

遺跡の状況

今日、ロムリアーナの城塞跡には、西門と主要な城壁が残っています。考古学者たちは、この地で宝石、武器、貨幣など、古代ローマ時代に遡る数多くの遺物を発見しており、特に貨幣は遺跡の年代特定に重要な役割を果たしています。

廃墟の中には、バシリカ跡、寺院跡、共同浴場跡など、興味深い遺構が点在しています。ガレリウス帝によって建てられた宮殿には、美しい柱やモザイク画が残されており、その豪華さを今に伝えています。アドーニスを描いたモザイク画や、狩猟の場面を描いたモザイク画など、その芸術性の高さに目を見張るばかりです。建材には大理石や斑岩が用いられ、かつての宮殿の栄華を偲ばせます。

宮殿の近く、マグラの丘の上には、ガレリウス帝とその母ロムラの墓と塚を含む記念碑が建てられています。

世界遺産としてのロムリアーナ

ロムリアーナの城塞は、2007年にユネスコの世界遺産に登録されました。

登録理由は以下の通りです。

(3): 現存する、または消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠であること。
(4): 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。

ロムリアーナは、古代ローマ帝国の栄華を今に伝える貴重な遺産であり、その歴史的・文化的価値は世界的に認められています。

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