プロテオグリカン

プロテオグリカンとは

プロテオグリカン（Proteoglycan）は、タンパク質とグリコサミノグリカンまたはアラビノガラクタンという多糖が結合した複合糖質の一種です。「プロテオ」はタンパク質、「グリカン」は多糖類を意味します。動物と植物で構造と機能が異なり、それぞれ重要な役割を果たしています。

動物におけるプロテオグリカン

動物のプロテオグリカンは、グリコサミノグリカンとコアタンパク質が結合したもので、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などがよく知られています。これらは臓器、脳、皮膚などの組織の細胞外マトリックスや細胞表面に存在し、特に軟骨の主成分として重要です。

構造

コアタンパク質のアミノ酸であるセリンに、キシロース、ガラクトース、グルクロン酸が結合し、コンドロイチン硫酸などの多糖体が複数結合した構造を持ちます。グリコサミノグリカンは高等多細胞動物に特有で、プロテオグリカンの分子量は数十万ダルトン以上と巨大です。

機能

コラーゲンやヒアルロン酸とマトリックスを形成し、身体組織や皮膚組織を維持します。また、組織形成や伝達物質としての役割も担い、組織の維持修復に関与します。プロテオグリカンはゴルジ体内で生合成され、細胞外に放出された後、組織を維持するために会合構造を形成します。

構成多糖類の種類

コンドロイチン硫酸（デルマタン硫酸を含む）：アグリカン、バーシカン、デコリンなど
ヘパラン硫酸（ヘパリンを含む）：パールカン、セルグリシン、シンデカンなど
ケラタン硫酸：ルミカン、ケラトカン、アグリカンなど
デルマタン硫酸：デコリンなど
* ヒアルロン酸

植物におけるプロテオグリカン

植物のプロテオグリカンは、アラビノガラクタンとコアタンパク質が結合したもので、正式にはアラビノガラクタン-プロテイン（AGP）と呼ばれます。細胞壁や樹液に細胞外マトリックスとして存在します。

構造

コアタンパク質のヒドロキシプロリンに、ガラクトース、L-アラビノース、グルクロン酸に富むアラビノガラクタン糖鎖が結合した構造を持ちます。アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)のコタンパク質にはヒドロキシプロリンが15%以上含まれており、高ヒドロキシプロリン糖タンパク質とも呼ばれます。プロテオグリカンの分子量は百万ダルトン以上と巨大です。

機能

植物の分化・成長に関わる多彩な生理機能を持つ情報因子として注目されています。アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)糖鎖には、雌しべ側因子（AMOR）構造があり、花粉管が誘導されることがわかっています。合成過程は動物のプロテオグリカンとほぼ同様で、コアタンパク質は小胞体で合成され、ゴルジ体へ運ばれます。

動物と植物のプロテオグリカンの違い

グリコサミノグリカンとアラビノガラクタンはどちらも酸性多糖類ですが、グリコサミノグリカンは直鎖状、アラビノガラクタンは枝分かれを持つという違いがあります。また、分子量やタンパク質の含有量によっても区別できます。

どちらのプロテオグリカンも、構造を維持したまま抽出することが難しいとされています。

プロテオグリカンは、動物と植物においてそれぞれ特有の構造と機能を持ち、生命活動に不可欠な役割を果たしています。

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