ガルディミムス

ガルディミムス：モンゴルの謎めいた小型恐竜

ガルディミムスは、約7000万年前の白亜紀後期に現在のモンゴルで生息していた獣脚類恐竜です。「ガルダもどき」を意味する学名は、モンゴルの仏教神話に登場する神獣ガルダに由来します。発見された化石は比較的完全な骨格で、その特徴からオルニトミモサウルス類の中でも初期の種だと考えられています。

発見と命名の歴史

1981年、ソ連・モンゴル合同調査隊によってモンゴル・ウムヌゴビ県のバイシンツァフでガルディミムスの化石が発見されました。この標本は、リンチェン・バルスボルド博士によって、タイプ種 Garudimimus brevipes として命名されました。「brevipes」は「短い足」を意味し、発見された化石の中足骨が短かったことに由来します。このホロタイプ標本は、白亜紀後期のバインシレ層から発掘され、頭骨を含むほぼ完全な骨格ですが、肩帯、四肢、尾の先端は欠損しており、亜成体の個体であると考えられています。その後、小林快次博士らによる詳細な研究が2004年と2005年に発表され、ガルディミムスの特徴が明らかになっていきました。

ガルディミムスの特徴：小型でずんぐりとした体格

ガルディミムスは、オルニトミモサウルス類の中では小型の種類で、体長は約2.5メートル、体重は約30キログラムと推定されています。高速走行に特化した他のオルニトミモサウルス類と比較して、脚は比較的短く、がっしりとした体格をしています。また、骨盤の腸骨も短く、脚部の筋肉もそれほど発達していなかったと考えられています。足には4本の指があり、うち1本は痕跡的なものとなっています。これは、3本の指を持つ他の多くのオルニトミモサウルス類とは異なる特徴です。

頭部は細長く、顎には歯がありません。吻部は丸みを帯びており、大きな目をしていたと推測されます。かつては、眼窩（目の穴）の上部に角状の突起があると考えられていましたが、最近の研究では、これは鼻骨の一部がずれて変形したものであることが判明しました。また、初期の研究では、足の骨の配置が誤って解釈されていましたが、小林博士らの研究により、アークトメタターサル構造（第3中足骨が他の中足骨の上に乗る構造）ではないことが確認されています。

系統分類：デイノケイルスとの近縁関係

当初、ガルディミムスは独自の科（Garudimimidae）に分類されていましたが、デイノケイルスの研究が進んだことで、両者は近縁であることが明らかになり、現在はデイノケイルス科（Deinocheiridae）に分類されています。

生態：雑食性恐竜の可能性

ガルディミムスの食性については、雑食性であった可能性が示唆されています。また、強膜輪（眼球を支える骨の輪）の構造から、周日行性、つまり一日を通して短い間隔で活動していた可能性が高いと考えられています。

まとめ：進化の謎を解き明かす鍵

ガルディミムスは、オルニトミモサウルス類の進化を研究する上で非常に重要な恐竜です。その独特な特徴と、デイノケイルスとの近縁関係は、このグループの多様性と進化の歴史を理解する上で重要な手がかりを与えてくれます。今後の研究により、さらに多くの情報が明らかになることが期待されます。

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