ガルベストン級ミサイル巡洋艦

ガルベストン級ミサイル巡洋艦について

ガルベストン級ミサイル巡洋艦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦後に開発した艦対空ミサイルを搭載するために、クリーブランド級軽巡洋艦を改装した艦級です。この改装は、ミサイル技術の進歩に伴い、既存の巡洋艦を有効活用する目的で行われました。

来歴

第二次世界大戦後、アメリカ海軍は新たな対空兵器として艦対空ミサイルの開発に着手しました。ミサイルシステムの大型化と搭載スペースの確保のため、既存の巡洋艦を改装して運用することになりました。最初に、ボルチモア級重巡洋艦がテリアミサイルを搭載し、ボストン級ミサイル巡洋艦として生まれ変わりました。その後、1956年と1957年の予算で、予備役となっていたクリーブランド級軽巡洋艦をミサイル巡洋艦に改装する計画が立てられました。

当初は9隻の改装が検討されましたが、並行して新型ミサイル艦の計画も進んでいたため、最終的にテリアミサイル搭載艦3隻（プロビデンス級）とタロスミサイル搭載艦3隻（本級）の計6隻が改装されることになりました。ガルベストン級は、タロスミサイルを搭載した艦級としてその名を歴史に刻んでいます。

設計

ガルベストン級は、クリーブランド級軽巡洋艦の後半部分を改装し、タロス艦対空ミサイルシステムを搭載した構成となっています。艦尾甲板にはMk.7 mod.0連装発射機（46発のミサイルを搭載）が設置され、その後部上構には、AN/SPG-49火器管制レーダー2基が背負い式に配置されました。レーダーシステムとしては、前檣に対空捜索レーダー、中檣に3次元レーダー、後檣に高角測定レーダーが装備されましたが、一部の艦では3次元レーダーと高角測定レーダーの配置が逆になっていました。

「ガルベストン」では、艦首側の47口径6インチ3連装砲2基と38口径5インチ連装砲3基はそのまま残されましたが、「リトルロック」と「オクラホマシティ」では、6インチ3連装砲1基と5インチ連装砲2基がさらに撤去され、艦橋構造が拡大されて旗艦設備が設けられました。また、40mmと20mmの機銃は全て撤去されました。主方位盤としてMk.34、副方位盤としてMk.37が装備されていましたが、「オクラホマシティ」では、重量軽減のためMk.34が撤去されました。

艦尾甲板にはヘリコプター甲板が設けられ、小型ヘリコプター1機を搭載できましたが、格納庫は設けられませんでした。その後、1960年代初頭までにQH-50 DASHの運用能力が付与され、AN/SQS-23ソナーも搭載されて対潜戦能力が付加されました。

改装の結果、ガルベストン級とプロビデンス級はいずれもトップヘビーの問題を抱えることになりました。特にガルベストン級は深刻で、「オクラホマシティ」では540トン、「リトルロック」では1200トンもの固定バラストを搭載するなど、様々な重量軽減策が講じられました。「ガルベストン」ではホッギングの問題が深刻だったため、他の2隻に先駆けて1970年に予備役編入されました。

兵装要目

同型艦

ホッギングの問題により、「ガルベストン」は早期に予備役入りしましたが、残り2隻は旗艦設備が重宝され、比較的長く現役にとどまりました。ナンバード・フリートの旗艦として配備されましたが、広域防空能力は新造艦に及ばず、1979年までに運用を終了しました。1975年の艦種分類再編では、「リトルロック」と「オクラホマシティ」がミサイル巡洋艦（CG）に再分類されました。

ガルベストン級は、旧式化した巡洋艦を有効活用し、ミサイル技術の黎明期においてアメリカ海軍の防空能力を支えた艦級として、その歴史を語り継がれています。

もう一度検索