ガヴリーラ・デルジャーヴィン

ガヴリーラ・ロマーノヴィチ・デルジャーヴィン

ガヴリーラ・ロマーノヴィチ・デルジャーヴィン（1743年7月14日 - 1816年7月20日）は、ロシア啓蒙主義時代を代表する詩人であり、古典主義を大きく発展させた人物です。アレクサンドル・プーシキン以前の時代において、最大の詩人とされています。

生涯

デルジャーヴィンは、タタール貴族のムルザを祖先に持ち、カザンで生まれ育ちました。父はロマン・ニコラエヴィッチ大尉でしたが、デルジャーヴィンが若い頃に亡くなりました。1762年、デルジャーヴィンはサンクトペテルブルクでプレオブラジェンスキー連隊の兵卒となり、軍人としてのキャリアをスタートさせました。1772年には士官に昇進し、1776年から1777年にかけては、プガチョフの乱の鎮圧にも参加しました。

デルジャーヴィンが文学界および一般社会で広く名声を得るきっかけとなったのは、1782年に発表した頌歌『フェリーツァ』でした。この作品はエカチェリーナ2世を称賛する内容であり、女帝自身も非常に喜びました。しかし、この頌歌には風刺的な要素も含まれていたとされています。

その後、デルジャーヴィンは行政官としても活躍しました。オロネツの県令に抜擢され、1785年からはタンボフの知事を務めました。彼はこれらの地域において秩序を重んじ、汚職撲滅に尽力しましたが、それが地方のエリート層との対立を招くこともありました。

1789年、デルジャーヴィンは首都に戻り、その後は様々な要職を歴任しました。しかし、官僚としての活動に携わる中でも、文学活動を活発に行い、文壇に貢献し続けました。1784年には長詩『神』を発表するなど、数多くの作品を世に送り出しています。

1803年にデルジャーヴィンは公務から引退し、サンクトペテルブルクやノヴゴロドのズヴァンカにある自身の領地で生活を送るようになりました。引退後は作家活動に専念し、晩年まで創作意欲を衰えさせることなく、数々の作品を執筆しました。そして1816年、ズヴァンカの自宅で生涯を閉じました。

参考文献

藤沼貴ほか「ロシア文学案内」岩波文庫、2000年
水野忠夫ほか「はじめて学ぶロシア文学史」ミネルヴァ書房、2003年

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