キエフ・ルーシ期の都市

キエフ・ルーシ期の都市

本稿では、キエフ・ルーシ期における都市の発展について詳しく考察します。この時代は、おおよそ9世紀から1240年までの期間に該当し、特にキエフ大公国が栄えていた領域に焦点を当てています。

起源と発展

キエフ・ルーシ期の都市は、主に東スラヴ民族の定住により形成されました。これらの都市は商業や手工業の中心地となり、信仰の場や防衛のための要塞として機能しました。また、ポゴストという集会所や部族の領域内に人々が定住することで、都市の発展が促されました。初期の都市はサイズこそ小さく、要塞としての役割を持ちつつ、住民にとっての避難所でもありました。特に9世紀から10世紀にかけて、都市人口や周辺の都市数は急増し、多様な都市が形成されていきました。

11世紀から13世紀にかけての都市成長に関しては、いくつかの学説が存在します。中でも、帝政ロシアの歴史家ヴァシリー・クリュチェフスキーは、都市の発展と交易路の開拓を結びつけていますが、反対の立場をとる研究者もおり、さまざまな地域での都市形成が重要であることを指摘しています。

産業

キエフ・ルーシ期の都市では農業活動が盛んで、考古学的研究により、この時代に住む人々が恒久的に農耕を行っていたことが確認されています。当時の農業の特性として、菜園や庭園の存在が挙げられ、家畜の飼育も重要な要素でした。考古学者は、馬や牛、豚、羊などの骨を発見しており、それに基づいた農業形態が推測されています。

また、都市においては様々な手工業が発展しました。研究によれば、初期の職人たちは64種類の専門職に分類されており、鍛冶屋や武器工、宝石職人などが存在していました。これらの職は、特定の商品を生産するために活発に活動しており、需要に基づいて製品が製造されていました。

具体的には、鍛冶屋は釘や鍋、武器の製造に従事し、建築や小舟の製造なども行われていました。職人たちは社会的にも独自の地位を築き、都市において重要な役割を果たしていました。

人口

12世紀末から13世紀初めにかけて、キエフ・ルーシ期の人口は約700万から800万人に達したと推定されています。大部分は農村に住む人々でしたが、市街地に居住する人口は当時の西欧と比較しても相対的に高く、総人口の13％から15％を占めていたと考えられています。都市に住む人々は主に職人や手工業者、日雇い労働者であり、ノヴゴロドやキエフなど主要な都市の人口はその成長を示しています。

たとえば、11世紀初めのノヴゴロドの人口は1万から1万5千人とされ、13世紀初頭にはさらに増加し2万から3万人と推測されています。一方、1240年にはキエフの人口が3万5千から5万人に達し、当時の有数の大都市として知られていました。

建設年度と信憑性

キエフ・ルーシ期の都市の建設年度を特定することは難しい課題ですが、年代記に基づく情報がその指針となっています。年代記の記述通りに都市の初期の姿を確認できる場合もあれば、考古学的な出土品との不一致が生じることもあります。そのため、建設年度の確定には、多面的なアプローチが必要となります。

都市一覧

都市に関しては年代記に詳細な記載があり、それによって主要公国の領域ごとに都市を分類しています。それぞれの都市は、当時の名称を基に記載されており、多くの場合、現在の都市名とは異なる名称が用いられています。また、年代記による情報は不完全であるため、各都市の詳細を確認するためには、専門書や脚注を参考にすることが推奨されます。

このように、キエフ・ルーシ期の都市は、農業や手工業を基盤にしながら成長し、その後の歴史的発展に大きな影響を与えました。

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